「無期雇用逃れ」と提訴へ 福岡市の契約社員 定年直前、1年間だけ正社員転換

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 13年にわたって有期雇用した嘱託社員を、定年前の1年間だけ正社員に登用したのは、企業が無期雇用転換の申し込みを逃れるためであり無効として、福岡市の契約社員男性(60)が勤め先の本社であるNTTコムウェア(東京)に対し、地位確認や差額賃金など計約554万円を求め、近く福岡地裁に提訴することが分かった。

 関係者によると、男性は2004年夏から16年度末まで、NTTコムウェア九州支店に嘱託として月給35万円で雇用され、1年更新を12回繰り返してきた。

 13年に労働契約法が改正され、不安定な雇用を解消するため、5年を超えて働く有期雇用者が無期雇用への転換を申し込めるルールが設けられた。施行から5年を迎える今年4月から、その申請が可能になった。

 男性も嘱託のままなら4月に無期雇用への転換を申し込む権利が発生するはずだったが、その1年前、59歳の17年度は嘱託としては更新されず、地域限定正社員(月給29万4440円)に登用された。男性は今年2月で60歳となり、3月末で定年退職。今度は有期雇用の契約社員(同17万6750円)となった。男性は改正法が公布された12年から無期雇用を求めてきたが、認められなかった。

 原告代理人の井下顕弁護士は「1年間の正社員化で無期転換権の行使を妨げている」と指摘。公序良俗に反する法律行為は無効とした民法に基づいて提訴するとしている。労働契約法に基づき嘱託契約は現在も更新されているとして、当時との差額賃金や慰謝料を請求するという。

 男性は「短期間の正規化を偽装する無期転換逃れの手法がまかり通れば、法の抜け穴となる」と訴える。

 NTTコムウェア社は「真摯(しんし)に対応を重ねてきたが、残念ながら理解を得るに至っていない。訴状が届いていないので詳細なコメントは差し控えるが、今後も円満解決に向けて誠意を持って対応したい」と話している。

=2018/06/13付 西日本新聞朝刊=

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