運転士異常音報告せず 新幹線破損 駅員、先端損壊見過ごす

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地図(1)衣服や足の一部などが見つかったとされる現場付近のトンネル=15日午前9時すぎ、北九州市八幡西区
地図(1)衣服や足の一部などが見つかったとされる現場付近のトンネル=15日午前9時すぎ、北九州市八幡西区
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地図(2)新幹線高架下を捜索する福岡県警の捜査員たち=15日午前10時20分ごろ、北九州市八幡西区上香月
地図(2)新幹線高架下を捜索する福岡県警の捜査員たち=15日午前10時20分ごろ、北九州市八幡西区上香月
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地図(3)福岡県警が捜索した現場付近には、線路へと続くはしごもあった=15日午前、北九州市八幡西区上香月
地図(3)福岡県警が捜索した現場付近には、線路へと続くはしごもあった=15日午前、北九州市八幡西区上香月
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 山陽新幹線博多発東京行きのぞみ176号は、博多-小倉間で14日に人をはね、先頭車両のボンネットが割れたまま、新下関駅まで走行した。運転士は「ドン」という異常音を感知しながら運転指令に報告せず、小倉駅ホームの駅員は破損を見過ごしていたという。JR西日本は「ただちに内規違反とは言えない」としているが、安全確認への姿勢が改めて問われそうだ。

 JR西は内規で、走行中に異常音がした場合、鳥などとの衝突では直ちに停止させる必要はなく、走行を継続するが、音の原因が特定できない場合は、運転指令への報告が必要だと定めている。

 今回、運転士は過去に小動物に当たった経験から、今回も同様の衝撃音だと考え、運転を継続した。JR西は「音の原因を運転士が判断しているので、内規違反とは言えない」と説明する。

 小倉駅ホームで乗客の安全確認をしていた駅員は「血のりのようなものが見え、車体にひびが入っているように思えた」として運転指令に報告した。ただ、車体先頭の破損は認識していなかったという。同駅では、のぞみ176号に対向して到着した下り新幹線の運転士が破損に気づき、駅員より先に運転指令に報告。指令所から連絡を受けたのぞみ176号の運転士が新下関駅に停車させた。

 小倉駅から新幹線を利用する市民からは15日、安全確認を求める声が相次いだ。広島駅まで出張する40代男性会社員は、昨年12月、新幹線のぞみの台車に破断寸前の亀裂が見つかった問題を踏まえ「安全性に多くの人が敏感になっているからこそ、気をつけてほしい」と注文した。

 鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは「運転士が駅に到着後、駅員に車両を確認するよう指示を出さなかった点に問題がある」と指摘。破損した状態で走行を続けると「最悪の場合、線路上に落ちた破損部品によって脱線事故につながる可能性もある」と話した。

 新玉名駅(熊本県玉名市)では2016年、駅のホームが無人化されている。梅原さんは「駅員の削減が進むと、駅員はホームの状況を監視することで精いっぱいになりかねない」と懸念している。

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 ■トンネル近く放置の車

 山陽新幹線博多-小倉間でのぞみ176号が線路内で人と衝突した事故で、福岡県警は15日、足とみられる遺体の一部が見つかった北九州市八幡西区の石坂トンネル近くに、軽乗用車1台が放置されていたことを明らかにした。県警は、車の所有者が線路に侵入した可能性があるとみている。

 車は14日深夜から15日未明にかけて、石坂トンネル博多側の同区上香月に無人の状態で放置されていたのが見つかった。車内には身元を示す遺留品があったという。県警によると、遺体の一部のほか、男物とみられる靴や衣類が博多側出入り口近くの約200メートルの範囲で見つかった。県警は新下関駅で停車した新幹線のボンネット内部で見つかった体の一部と同一人物か確認を進めている。

 八幡西署は15日午前7時すぎから、20人態勢で線路周辺の捜索を再開。博多側出入り口から約800メートル離れた上香月の線路高架下では、捜査員が線路脇の茂みをかき分け、体の一部や遺留品などを捜索。線路への侵入経路を調べた。

 捜索現場から博多方面に向かうと、線路は高架から高さ数メートルの土手になる。土手の下はフェンスで覆われ、上部に有刺鉄線が張り巡らされている。高架内へつながるはしごもあるが、近くに住む女性は「フェンスを越えても線路に入るまでに高い壁がある。覚悟がないと登れないはず」と首をかしげた。

=2018/06/15付 西日本新聞夕刊=

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