住民の命守った「旧松末小」を記念館に 九州豪雨1年 九大グループが計画

プロジェクトは旧松末小校舎に隣接する特別教室(写真左側)を「復興記念館(仮称)」として整備する構想だ=3月
プロジェクトは旧松末小校舎に隣接する特別教室(写真左側)を「復興記念館(仮称)」として整備する構想だ=3月
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 甚大な被害をもたらした昨年7月の九州豪雨からまもなく1年。被災地を支援する九州大の研究者グループ「豪雨災害調査・復旧・復興支援団」は、豪雨で被災した福岡県朝倉市の旧松末(ますえ)小を地元住民の集いの場として活用し、災害を風化させないための「復興記念館(仮称)」として整備するプロジェクトに乗り出すと明らかにした。豪雨で壊滅的な被害を受けながらも、避難してきた人々の命を守った松末小。跡地を復興のシンボルとして活用したいという住民の願いも強く、支援団は今後、実現に向けて広く協力を募る。

 中山間地域にある松末小には豪雨が襲った昨年7月5日、児童11人を含む地元住民ら約50人が身を寄せた。職員室がある1階や体育館に濁水やがれきが流れ込み、避難者は3階で一夜を過ごし、命が救われた。

 豪雨前に閉校が決まっていた松末小は今年3月、144年の歴史に幕を閉じた。市による跡地活用策は未定だが、住民の間では「地域の交流拠点にしたい」「災害を伝承する施設に」との声が上がっている。

 九大の支援団は研究者約50人でつくり、専門的知見を生かして復旧・復興を後押ししようと豪雨発生直後から足しげく被災地入り。朝倉市と同県東峰村の復興計画策定にも関わった。今後も復興を行政任せにせず、住民が主体的に取り組むには、住民が集い、支援団が長く寄り添える拠点が必要だと判断した。

 プロジェクトは復興記念館の整備に加え、九大分室としての「復興支援センター(仮称)」開所が柱。センターは朝倉市内のアパートに設け、住民の相談窓口や、被災地入りした研究者や学生の宿泊に活用する。

 復興記念館は、旧松末小校舎に隣接する平屋の特別教室を活用し、被災状況を復元した模型の展示や防災講座を開くなどの活動を想定。建物の損傷が激しく、補修や管理維持の費用が必要となるため、インターネットを通じたクラウドファンディングで、まず7月26日から約2カ月間、寄付金を募る計画だ。

 松末地域コミュニティ協議会の伊藤睦人会長は「みんな松末小跡地について気をもんでいるが、支援団のプロジェクトは住民が希望する方向性と一致している。これからよく話し合っていきたい」。支援団代表で九大アジア防災研究センターの三谷泰浩教授は「幅広い協力を得て、ぜひプロジェクトを実現させたい」と話している。

=2018/06/18付 西日本新聞朝刊=

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