ネットの人権侵害相談2000件超 昨年、過去最多 専門家「規制強化を」

 近年、インターネット上の書き込みによる人権侵害事案は急増しており、昨年、法務省の人権擁護機関に寄せられた相談件数は過去最多の2217件に上る。投稿された、いわゆるデマ情報は一瞬でネット上に広がる上、匿名性が高いことから発信源を特定するのは難しいのが現状だ。

 「全く関係がないのに、なぜこんな仕打ちを受けるのか」。11人が名誉毀損(きそん)容疑で書類送検された19日、被害を受けた「石橋建設工業」の石橋秀文社長はあらためて怒りをにじませた。

 昨年10月、石橋社長からの被害届を受理した福岡県警は関係先を家宅捜索。押収したパソコンや携帯電話を分析することで、デマ情報を最初に発信した人物の特定を目指した。

 ただ、11人が書き込んだ内容の大半はネットに投稿された文章をコピーしたもので、いずれも「ネット上のうわさを信じてしまった」と供述。デマ情報を広めた張本人の特定には至らなかった。捜査幹部は「軽率な行為だろうと悪質なデマを流せば罰せられると示したことで、啓発につなげる目的があった」と捜査の意義を語った。

 18日に発生した大阪府北部を震源とする地震では「外国人は地震になれていないからコンビニ強盗始める」「シマウマ脱走って」などのデマ情報が飛び交った。2016年の熊本地震でも、熊本市動植物園からライオンが逃げたとのデマ情報が会員制交流サイト(SNS)に流れ、偽計業務妨害容疑で神奈川県の会社員が逮捕されている。

 立正大の西田公昭教授(社会心理学)は「ネットは相手の顔も見えない上、同調する意見が集まることで集団心理も働くため、攻撃的になりやすい。モラル教育とともに、サイト管理者による監視や規制の強化が必要だ」と指摘した。

=2018/06/20付 西日本新聞朝刊=

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