豪雨土砂で野菜栽培 松末に試験畑整備 農地復旧へ官民連携

試験栽培地でカボチャの苗を植える伊藤睦人さん(左)ら=5月30日、福岡県朝倉市
試験栽培地でカボチャの苗を植える伊藤睦人さん(左)ら=5月30日、福岡県朝倉市
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 九州豪雨で氾濫した河川沿いの農地などに堆積した土砂を、農業用の耕作土として使うための試験栽培が、被災地の福岡県朝倉市・松末(ますえ)地区で進んでいる。土砂を砂と粘性土に分類し、その混合割合を変えた4パターンの土を使って野菜や穀物を栽培。生育状況を見ながら成否を確認する。国や自治体など関係機関と住民も連携し、土砂の撤去と農地の復旧という二つの課題の同時解決を目指す。

 試験栽培を主導する朝倉市によると、河川沿いで土砂に覆われた被災農地は、市内に150万平方メートル(推計)にわたって広がっている。復旧を目指す市は、農業の再開には深さ20センチほどの耕作土が必要で、全域に耕作土を盛る量を計30万立方メートルと試算。しかし、あまりにも大量で確保できないため、土砂の活用を考案した。

 一方、河川流域の復旧を担う国土交通省九州地方整備局は、土砂を耕作土として利用できれば、農地から除去する費用などを削減できる可能性があり、試験栽培に積極的に協力する。

 試験は、赤谷川沿いで農地だった計400平方メートルで5月から実施。砂と粘性土の混合割合を「7対3」「6対4」「5対5」「0対10」の計4パターンの土を使って栽培地を整備した。栄養分不足を補ったり、水はけを良くしたりするため、JA筑前あさくらと西日本新聞エリアセンター連合会が行う「志縁プロジェクト」に寄せられた募金で購入した堆肥と土壌改良剤をまいた。県朝倉農林事務所朝倉普及指導センターも、堆肥の必要量の試算などで支援した。

 4パターンの栽培地それぞれで、カボチャやサツマイモ、大豆など計5種類を植え、生育状況から各作物に適した混合割合を判断するという。

 日ごろの主な農作業は、住民らでつくる松末地域コミュニティ協議会が請け負っている。植え付けは5月30日に始まり、早ければ8月上旬ごろから収穫できる見通し。

 市農地改良復旧室は「試験がうまくいけば、農業復旧に向けた大きな希望になる」と期待を込める。同協議会の伊藤睦人会長(73)は「試験栽培が成功し、全市の被災農地に広がってほしい」と、作物の成長を楽しみにしている。

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7月5日に追悼式 朝倉市、東峰村が主催

 九州豪雨から1年を迎える7月5日、大きな被害を受けた福岡県朝倉市と同県東峰村は、それぞれ犠牲者を弔う追悼式を営む。大分県日田市も同日、慰霊行事を行う。豪雨による犠牲者は3市村で40人(災害関連死1人含む)に上る。

 この日を「市民防災の日」と定めている朝倉市の式典は、午前10時半から同市杷木久喜宮(くぐみや)のサンライズ杷木であり、出席者による黙とうの後、遺族代表が慰霊の言葉を述べる。

 東峰村は午前9時から、同村宝珠山の保健福祉センターいずみ館で開催。遺族や一般の住民らによる献花や、地元の女声合唱団による献歌もある。

 日田市は正午から1分間、市内の防災行政無線でサイレンを一斉に鳴らす。市役所では職員が黙とうし、原田啓介市長が幹部職員を前に追悼の言葉を述べる。

 九州豪雨では、朝倉市の2人の行方が分からないままになっている。

=2018/06/22付 西日本新聞朝刊=

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