動物虐待が全国で急増、深刻化 昨年最多68件 ネットで動画や手口拡散も… 罰則強化求める声

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 猫や犬などを狙った残忍な動物虐待が後を絶たない。動物愛護法違反容疑での摘発件数は近年増え続け、昨年は全国で68件と過去最多に。福岡市内では5月下旬以降、腹や首を切られた子猫や死骸が相次いで見つかったほか、近年は虐待する動画や方法がインターネット上で拡散されている現状もある。専門家からは「凶悪犯罪につながりかねない」などと規制強化を求める声も上がっている。

 腹や首を鋭利な刃物で切られた猫、毒入り餌を食べたとみられる猫…。5月以降、福岡市内では虐待され死傷したとみられる猫が少なくとも9匹見つかった。いずれも動物愛護法違反容疑で県警が捜査している。

 警察庁によると、全国の動物愛護法違反容疑での摘発数は、統計を取り始めた2010年の33件からここ数年で倍増。逮捕・書類送検した人数も大幅に増え、10年は40人だったが昨年は76人に上った。

 福岡大人文学部の大上渉准教授(犯罪心理学)は「動物虐待をする人は共感性や罪悪感が欠如しているといえる。米国では連続殺人など暴力的犯罪者の多くが、過去に動物虐待をしていたという研究結果もある」と指摘する。神戸市の連続児童殺傷事件、長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件で逮捕された少年(当時)や少女も、過去に猫を虐待していた。

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 猫を虐待する動画、画像をインターネット上に投稿するケースも目立つ。

 猫13匹を死傷させたとして昨年12月、東京地裁で有罪判決を受けた元税理士の男(52)は、おりに入れた猫に熱湯を掛けたり、ガスバーナーで焼いたりした様子を撮った動画を投稿。掲示板では「芸術品だ」「俺なら熱したステンレスの棒で目を焼く」など残忍な行為をあおる書き込みがあふれ、虐待がエスカレートする様子がうかがえた。

 福岡県警の幹部は「ネットや周囲の反応を見て、歯止めが利かなくなる恐れもある。あおったり助長したりする行為も危険だ」と警鐘を鳴らすが、投稿そのものを規制する法律はない。

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 相次ぐ動物虐待に対し、規制強化や厳罰を求める声が全国で広がっている。

 元税理士の裁判では判決前、ネットの署名サイトで実刑を求める声が上がり、16万筆を超える署名が東京地検などに提出された。

 福岡県内では「理想の猫じゃない」と飼い猫を踏み殺したとして昨年10月に書類送検された元県立高講師の男(26)に対し、厳しい処罰を求める1万人以上の署名が集まった。署名した北九州市小倉北区の女性(51)は「耳をふさぎたくなるような残忍な行為を繰り返しても、現行法では罰金刑で済まされる例が多い。少しずつ変えていくべきだ」と訴えている。

 超党派の国会議員連盟も動物愛護法改正へ動きだした。動物をみだりに殺傷した際の罰則を現行の「2年以下の懲役か200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役か500万円以下の罰金」に引き上げる-などとする骨子案を7月中にも取りまとめる方針だ。

=2018/06/23付 西日本新聞朝刊=

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