「洪水段波」で氾濫域2.5倍 たまった土砂・流木の決壊起因 九大研究班が朝倉の4河川で確認

段波が到達する前の白木谷川。水は河道内を流れている=2017年7月5日午後6時10分ごろ、福岡県朝倉市杷木池田
段波が到達する前の白木谷川。水は河道内を流れている=2017年7月5日午後6時10分ごろ、福岡県朝倉市杷木池田
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段波の影響で、わずか12秒間で川の水位は約2メートル上昇した=2017年7月5日午後6時10分ごろ、福岡県朝倉市杷木池田
段波の影響で、わずか12秒間で川の水位は約2メートル上昇した=2017年7月5日午後6時10分ごろ、福岡県朝倉市杷木池田
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 昨年7月の九州豪雨の際、河川が土砂でせき止められてできる「天然ダム」の決壊などにより水が一気に押し寄せる「洪水段波(だんぱ)」が、少なくとも福岡県朝倉市の四つの河川で発生していたことが、九州大の研究グループの調査で分かった。段波の影響で氾濫域が約2・5倍に広がったと推定される川もあり、被害を拡大させた要因とみられる。段波の発生が複数箇所で裏付けられたのは全国的に珍しいという。

 段波は、川面を走るように段差がある高い波が押し寄せる現象で、山津波と呼ばれることもある。2008年7月、小学生ら5人が犠牲になった神戸市の都賀川での水難事故でも段波が起きたとされる。九州豪雨では住民が撮影した映像や証言から、朝倉市の寒水(そうず)川と白木谷川、赤谷川、道目木(どうめき)川で発生したことが明らかになった。

 寒水川では、住民から「川の水位が下がった後、家の2階部分に及ぶ津波が押し寄せた」などの証言や映像を得て、段波の発生を確認。豪雨前の川幅は約4~8メートルだったが最大氾濫幅は約900メートルまで拡大し、下流の氾濫域は39ヘクタールに達していた。九大のシミュレーションでは、この氾濫域は段波が起きなかった場合の推定氾濫域の約2・5倍になり、段波が被害拡大の原因と考えられるという。

 住民が撮影した動画から、寒水川の段波発生時の流量は最大で約250トン毎秒で、段波が起きなかった場合の約5倍だったとみられる。下流で全半壊した家屋は40戸を超えており、九大大学院工学研究院の田井明准教授(環境水理学)は「土砂や流木が交じった大量で速い、威力のある段波が家屋にも大きな被害を与えたと考えられる」とする。白木谷川では、段波の影響で、わずか12秒間で川の水位が2メートル上昇したことが写真から確認された。

 研究グループは、段波の発生原因として「河道が狭く、土砂崩れが多発し、大量の流木が発生したことで各所で『天然ダム』ができやすい状況だった」ことを挙げる。田井准教授は「段波の発生自体を防ぐのは難しい」とした上で「段波の流速を抑えられるよう川幅を広くしたり、堤防を設けたりするなどハード対策を考える必要がある」と指摘している。

=2018/06/27付 西日本新聞朝刊=

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