妻の姿が歌声でよみがえる 東峰村の熊谷武夫さん 九州豪雨1年

追悼式で、かつて妻が所属した合唱団の歌を聴き、涙を拭う熊谷武夫さん=5日午前9時50分ごろ、福岡県東峰村
追悼式で、かつて妻が所属した合唱団の歌を聴き、涙を拭う熊谷武夫さん=5日午前9時50分ごろ、福岡県東峰村
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 「一緒に歌いたかったろうなぁ…」。5日にあった福岡県東峰村の追悼式。地元の宝珠山女声合唱団9人が、豪雨の犠牲者に歌をささげた。熊谷武夫さん(73)は、胸を締め付けられる思いで耳を傾けていた。

 1989年の発足当初から合唱団に所属し、村の文化祭などで元気な歌声を響かせた妻、みな子さん=当時(66)=は、1年前の豪雨で自宅ごと流されたとみられ、帰らぬ人となった。

 武夫さんは仮設住宅に入居。自分で食事の準備をするようになった。村役場から委託された各家庭の水道メーターの検査業務は被災前と同様に続けている。「前を向かなければ」。日常生活を取り戻すため、この1年、懸命に生きてきた。

 かつてはみな子さんが準備してくれた喪服に、今朝は自分で袖を通した。追悼式では歌声とともに妻の姿がよみがえり、あふれる涙を何度も拭った。「思い出すのはつらい」。でもいつか、妻を知る人と笑って語り合えるようになりたい。そう誓い、式典会場を後にした。

=2018/07/06付 西日本新聞朝刊=

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