「夫婦とも無事で……」祈り沈痛 心肺停止の女性発見 北九州の土砂崩れ現場

北九州市門司区奥田の土砂崩れ現場を訪れ、規制線の中を見つめる住民たち。家にはまだ立ち入れない=9日午前10時半ごろ
北九州市門司区奥田の土砂崩れ現場を訪れ、規制線の中を見つめる住民たち。家にはまだ立ち入れない=9日午前10時半ごろ
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 西日本を中心に甚大な被害をもたらした記録的豪雨は9日、各地で捜索活動が続けられ、九州ではこれまでに福岡と鹿児島、佐賀3県で計5人の死亡が確認された。1人は心肺停止、1人は依然、安否不明の状態となっている。浸水被害の大きかった福岡県の筑後地区では、片付けなどの復旧作業も始まったが高齢者施設、保育園の浸水など、新たな被害も判明した。

 北九州市門司区奥田の土砂崩れ現場では、9日も安否不明者の捜索が続いた。土砂が流れ込んで夫婦が巻き込まれた民家からは8日に西邑(にしむら)一雄さん(68)が見つかり、妻とみられる女性も心肺停止の状態で9日朝に発見された。女性の身元は確認中。住民らは悲しみに暮れる一方、家屋が倒壊する恐れもあり、長引く避難生活に疲労の色も濃くしている。

 一雄さんは8日午前、斜面に立つ家屋1階の隣家付近で見つかり、ブルーシートで囲まれるなどして坂の下で待つ救急車に運ばれた。警察官や消防隊員らはもう一人の不明者の捜索を続行。しかし同日午後5時前、家が倒れる可能性があり作業を中断した。再開は午後11時50分。夜通しの捜索で女性を発見したのは翌9日午前6時半すぎだった。

 家族などによると、夫婦は避難直前に玄関で土砂に巻き込まれたとみられ、女性は一雄さんの近くで見つかった。夫婦に靴を履かせていたという30代の長女は座骨骨折の重傷を負った。土砂がたまり、前日まで降った雨で足場の悪い坂道。泥まみれの捜索関係者は声を掛け合いながら、女性を救急車に収容した。

 一雄さんの長男(38)は西日本新聞の取材に「警察から連絡を受けた。素直にそのまま受け止めるしかない」と声を絞り出した。現場を訪れた近くの男性(64)は「残念だ。救出に時間がかかり過ぎたのか」と肩を落とした。

 現場周辺はなお立ち入りが規制中。規制線内に自宅がある男性(70)は近くの市民センターに避難しており9日午前、猫に餌をやるために一時帰宅した。「避難所は高齢者が多く、皆疲れている。早く家に帰りたいが、避難が長引くなら、どこか借りて住むことも考えないと」と険しい表情で話した。

=2018/07/09付 西日本新聞夕刊=

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