「50年に1度」のはずが…大雨常態化? 地球温暖化が一因 ハード面の対策に限界も

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 西日本を中心に甚大な被害をもたらした記録的豪雨で、気象庁は過去最多となる11府県に大雨特別警報を出した。「50年に1度」の異常気象を基準に発表される大雨特別警報だが、昨年の九州豪雨に続いて福岡県では2年連続で発表されたことになる。「異常」が「日常」になりつつある中、どうすれば命を守れるのか。

 「経験したことのないような大雨で、重大な危険が差し迫った異常事態。地元市町村から発令された避難情報に直ちに従うなど適切な行動をとってください」。6日夕の記者会見で、気象庁の担当者は北部九州3県に大雨特別警報を発表し、最大限の警戒を訴えた。

 大雨特別警報は2011年の紀伊半島豪雨など過去の災害の教訓から、13年8月に運用が始まった。1991年以降の観測データを基に「50年に1度」の異常雨量などの値を定め、それを超えれば発表される。この5年間、8例の大雨や台風に伴って計10回発表されている。

 なぜ50年に1度の異常気象が頻発するのか。福岡大の守田治客員教授(気象学)は、地球温暖化を理由に挙げる。「気温上昇で空気中に蓄えられる水分量が増えることや、大気の状態が不安定になりやすくなることなどから大雨が降りやすくなっている」

 温暖化によって空気中に蓄えられる水蒸気の量が増えると、降雨の回数は少なくなる一方、ひとたび雨になると降水量が増えるという見方がある。

 さらに日本気象協会九州支社の松井渉気象予報士によると、「気温の上昇によって海水の温度が上がると、大気中に流れ込む水分も増え、大雨になりやすい」という。気象庁によると、85年までの10年間と最近の10年間を比べると、1時間に50ミリ以上の雨は4割近く増加。同80ミリ以上の雨も6割増えた。

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 気象庁は北部九州3県に大雨特別警報を出した会見の時点で、既に中国地方や近畿地方でも同警報の発表を示唆していた。それでも、両地方での被害の拡大は防げなかった。逃げ遅れも原因の一つと考えられる。

 東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害心理学)は「人間は『自分だけは大丈夫』という心理が働きがち。普段から自宅周辺の地形や避難所を確かめ、万一の行動を想定し、警報などに敏感に反応することが大事だ」と指摘する。

 その上で、広域にわたって被害が予想された今回の災害について、「一般的に、小規模の自治体であれば防災の知識が乏しいことも珍しくない。自治体が広域で連携したり、国や都道府県が避難指示などを出すタイミングを助言したりできたかもしれない」と話す。

 豪雨災害が起きるたびに、堤防や砂防ダムなどの整備に努めてきたが、異常気象が続く今、そうしたハード面の対策には限界がある。今回、浸水した場所は河川に挟まれた場所など、もともと地形的に災害リスクが高い場所だった。

 佐賀大の大串浩一郎教授(水工学)は「自分が住む場所の危険性を認識した上で、豪雨をもたらす雨雲が来る前に、あらかじめ避難場所を把握し、実際に行動に移すようにすべきだ」と、自治体や住民の意識改革を訴えた。

=2018/07/10付 西日本新聞朝刊=

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