「また降ったら……怖い」 北九州市、広域被害が明らかに 先行き見えず、募る不安

2人が犠牲になった土砂崩れ現場付近で土砂の撤去を進める作業員たち=12日午前10時40分、北九州市門司区奥田
2人が犠牲になった土砂崩れ現場付近で土砂の撤去を進める作業員たち=12日午前10時40分、北九州市門司区奥田
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土砂崩れで全壊したことが新たに判明した病院宿舎=12日午後4時50分ごろ、北九州市八幡西区河内2丁目
土砂崩れで全壊したことが新たに判明した病院宿舎=12日午後4時50分ごろ、北九州市八幡西区河内2丁目
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 土砂崩れで2人が犠牲になった北九州市門司区奥田では、避難所や親族宅に身を寄せていた住民たちが自宅に戻り始めた。ただ、亡くなった西邑(にしむら)一雄さん(68)と加代さん(61)夫婦の家は倒壊の恐れがあり、付近はなお立ち入ることができない。被災から1週間。市では、門司区以外にも東西の広い市域で被災していることが明らかになってきた。自宅に帰れない人も多数おり、暮らしの先行きに不安を募らせている。

 周辺に残る大量の土砂、道ばたに転がる無数の石。門司区奥田では、3軒の民家が立ち入り禁止となったままだ。12日は西邑さん夫婦の葬儀が営まれた。参列した近所の高杉由明さん(68)は正午前に帰宅。この日からガスが復旧し、住めるようになったが「またあんな大雨が降ったら、と思うと怖い。早く元の生活に戻りたい」と願った。

 豪雨被害は市域の広範囲にわたった。全壊や半壊、一部損壊、床上・床下浸水といった家屋被害は全7区で220棟に上る。特に、傾斜地に住宅が多く立つ門司区と八幡東区に集中した。西邑さん宅を含む門司区奥田の2棟に加え、八幡東区河内の病院宿舎1棟が全壊したことが12日、新たに判明した。今後の調査でさらに増える可能性がある。

 北九州市は、市営住宅52戸(11日現在)を被災市民に提供することを決めた。八幡東区の自宅が崖崩れで被災し、いつ倒壊するか分からないという花房美咲子さん(81)は、13日に娘と一緒に市営住宅に移る。「引っ越しにお金がかかり、自宅の処分もどうしたらいいのか…。将来が見通せない」と不安を隠さない。

 「崩れた裏山には廃屋があり、豪雨で壊れた。自宅に落ちてくるかと思った」。八幡東区の山あいの住宅地に住む高橋華代さん(55)は声を震わせる。昨年7月の豪雨でも崩れ、赤土がむき出しになったまま。市には対策を求めていた。廃屋は撤去されることになったが「今回は紙一重で落ちなかっただけ。全国で同じような大災害が起きている。暮らしや家をどう守っていけばいいのか、答えが見つからない」。

=2018/07/13付 西日本新聞朝刊=

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