偽造印 見逃さぬ「科捜研の女」 大分県警・中野係長 鑑定プログラム開発 0.01ミリのずれ判別

偽造印鑑を見抜く手法を研究する、大分県警科学捜査研究所の中野美佳係長
偽造印鑑を見抜く手法を研究する、大分県警科学捜査研究所の中野美佳係長
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 大分県警科学捜査研究所(科捜研)の女性所員が、偽造印鑑を精密に鑑定するコンピュータープログラムを開発した。本物と偽物の印影を照合し、肉眼では分からない外枠部分のずれを0・01ミリ単位まで判別することが可能になったという。学会でも高い評価を受けており、文書偽造事件など捜査での活用が期待されている。

 研究しているのは、県警の中野美佳係長(37)。彫刻機の発達で有印文書の偽造が巧妙化しているのを受け、2年前に着手した。

 まず、一般的な印鑑に使われるツゲの木を用い、1本の印鑑をベースにした偽造印鑑を制作。千葉県まで出向き、警察庁科学警察研究所(科警研)の彫刻機を使ったという。同じベースでさらに精巧な偽造印を作る作業を繰り返し、計50本を制作。その結果、最も形状が近い印影でも円形の縁に0・03ミリのずれが生じることを発見した。

 「材質のわずかな違いでゆがみが生まれるので、木材を彫刻して印鑑を偽造する場合、現在の技術では(円形の縁に)必ず誤差が生じる」と中野係長。科捜研の他の所員と共同で、印影の縁の違いを判定するプログラムの開発に取り組み、本物と偽物の印影の画像データを重ね合わせて判定できるようにした。

 これまでは投影機や画像処理ソフトを使って肉眼で違いを確認していたが、開発したプログラムでは、印影の完全一致を示す「1」から、全くの不一致を表す「マイナス1」まで数値化して判定。数値化により客観的に判別できるという。

 この研究は昨年11月、全国の科捜研や大学などでつくる「日本法科学技術学会」で177題の中から「奨励賞」に選ばれた。法文書分野では唯一の受賞だった。

 実際の事件での活用例はまだないが、他県警からは複数の問い合わせが届いている。中野係長は「筆跡や印刷物の鑑定にも応用できるよう、研究を重ねたい」と話している。

=2018/07/20付 西日本新聞夕刊=

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