遠賀川は一時決壊の危機だった 5観測所で「計画高水位」超え 西日本豪雨

計画高水位を超えた遠賀川沿いで作業する人たち(遠賀川河川事務所提供)=6日午後、福岡県直方市
計画高水位を超えた遠賀川沿いで作業する人たち(遠賀川河川事務所提供)=6日午後、福岡県直方市
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 西日本豪雨で九州に20ある1級河川水系のうち、遠賀川と筑後川、六角川、菊池川4水系の一部の水位観測所で、堤防が耐えられる最高水位を示す「計画高水位(ハイウオーターレベル)」を超えていたことが、国土交通省九州地方整備局への取材で分かった。遠賀川では、越水による堤防決壊の恐れもあったとされ、専門家は「温暖化の影響もあり過去の水害記録だけでは対応できなくなっている」と指摘する。西日本豪雨は20日で発生から2週間。

 国交省によると、計画高水位は堤防や護岸などの設計の基本で、越水した状態が続けば堤防の裏側ののり面を削るなどし、危険な状態に陥る。6日の豪雨では遠賀川の本支流の5観測所、六角川の本支流の2観測所、筑後川と菊池川の支流のそれぞれ1観測所で一時、計画高水位を超えた。

 遠賀川では本流の福岡県直方市の日の出橋観測所で6日午後4時ごろ、氾濫危険水位(7・70メートル)を超過。同6時ごろに計画高水位(8・462メートル)を超え、堤防ぎりぎりを水が流れる状態が3時間近く続いた。

 同観測所では2008年から昨年までに計3回、氾濫危険水位を超えたが、計画高水位を超えたのは今回が初めて。遠賀川河川事務所の広松洋一副所長は「越水に近い状態で、あと数時間続けば決壊に至った可能性があった」と話す。

 遠賀川流域では03年、同県飯塚市の市街地を中心に3700戸余りが浸水する水害が発生。07年からおおむね30年間かけて、河床掘削や堤防強化などの整備を進めている。今回の豪雨では遠賀川流域の多くの雨量観測所で観測史上最多を更新。同事務所は「住民の避難行動を促す情報提供などソフト面の対策も強化したい」とする。

 九州大大学院の矢野真一郎教授(河川工学)は「近年は温暖化の影響で予測できない豪雨が各地で起きている。河川整備の計画段階で想定した最大規模の洪水を上回る状況が頻発しており、過去の水害の記録だけではなく、将来の温暖化の影響も加味した計画に改める必要がある」と話している。

=2018/07/21付 西日本新聞朝刊=

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