由布市がSL譲渡、3度目募集 老朽化で管理困難に 500万円補助金も

譲渡先を募集している大分県由布市のSL「D51系」
譲渡先を募集している大分県由布市のSL「D51系」
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 大分県由布市は、同市湯布院町の湯布院中央児童公園に展示している蒸気機関車(SL)の引き取り手を募集している。老朽化により維持管理が難しくなったためで、昨年2回の募集では譲渡先が決まらなかったのを受け、今回は上限500万円の補助金を出す。申し込みの締め切りは8月10日。

 SLは、1944年製造の「D51系」の先頭車両と炭水車。戦前戦後の運輸を支え、愛好家から「デゴイチ」の愛称で親しまれている。全長約20メートル、高さ約4メートル、重さ約80トン。

 旧湯布院町と旧国鉄が75年に貸与契約を結び、町営ホテルのシンボルとして展示。観光資源に活用しようと、85年からは観光スポットの「湯の坪街道」にある同公園に移設した。2017年3月にJRから同市に無償譲渡された。

 これまで市職員や愛好家がボランティアで清掃してきたが、経年劣化が進み、今は車内への立ち入りを禁止している。修繕に数千万円かかるとして市は当初、解体を検討したが、市民から「歴史的価値があるのにもったいない」との声を受けて譲渡を決めた。

 譲渡の条件は、SLの5年間の保存・展示。車体は無償譲渡だが、移設費は自己負担。昨年9~10月の1回目の募集では、市内外から3企業・団体から応募があったが、事業計画書などの必要書類がそろわずに破談となった。今年1~2月の2回目の募集では、希望者が現れなかった。今回、申し込みがあれば選考委員会で審査を行い、譲渡するかどうかを決める。

 市建設課は「譲渡先が決まらなければ、再び解体も検討せざるを得ない」としている。

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 ■九州に50台…解体の自治体も

 九州鉄道記念館(北九州市門司区)によると、蒸気機関車は1975年ごろ、列車のディーゼル化に伴って次々と引退。当時の「SLブーム」に乗って、旧国鉄が全国で自治体に無償貸与を進めた。しかし、製造から半世紀以上が過ぎ、老朽化したSLの処遇に頭を悩ませている自治体は多い。

 同館の宇都宮照信副館長(68)によると、九州では少なくとも約50台のSLが旧国鉄から自治体などに貸与や譲渡されたという。

 福岡県行橋市は2017年3月、市民会館敷地内に展示していたSLを同県直方市のNPO法人に譲渡。最初の募集で希望者が現れず、上限300万円の補助を設けて再募集し、譲渡先が決まった。

 長崎市では17年4月、中央公園に展示していたSLを解体。ただ、原爆投下後にSLが救援列車を先導したという歴史的経緯を踏まえ、長崎県長与町が車輪の一部を展示している。

 宇都宮副館長は「老朽化したSLを持て余している自治体は多い。安全面や管理費を考えると解体もやむを得ないが、昭和の運輸を支えた貨物車が姿を消していくのは、悲しい」と話している。

=2018/07/24付 西日本新聞夕刊=

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