「自画撮り」要求に罰則 福岡県、青少年育成条例改正へ

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 18歳未満の少年少女がスマートフォンなどで自らの裸などを撮影した画像を送信させられ悪用される「自画撮り被害」を防ごうと、福岡県は、画像提供を求める行為への罰則を盛り込んだ県青少年健全育成条例改正案を、県議会9月定例会に提案する方針を固めた。年度内の施行を目指している。

 性的な画像の要求を規制する条例は、都道府県レベルでは東京都、兵庫県、京都府が定めている。熊本県などでも同様の条例改正の動きがある。

 現行の児童買春・ポルノ禁止法では、18歳未満の少年少女に性的な画像を要求しただけでは罪に問われず、子どものわいせつな画像の製造や性的な目的で所持した段階で罰せられる。条例改正案では、相手を脅したり金銭的な見返りを約束したりするなど、自画撮りを不当に要求する行為を対象に、30万円以下の罰金などを科す方向だ。

 子どもの自画撮りを巡っては、スマートフォンの普及などに伴い、会員制交流サイト(SNS)を通じて知り合った相手に、だまされたり脅されたりして画像を送らされる被害が増加。2017年に全国で摘発された児童ポルノ事件の被害者1216人のうち、自画撮り被害は約4割を占めた。

 福岡県内の18歳未満の自画撮り被害は15年23人、16年31人、17年49人と増加傾向で、県は被害を未然に防ごうと、画像の要求段階で摘発できるように規制を強化する必要があると判断した。

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■未成年被害5年で倍増

 「自画撮り」の被害に遭う未成年は近年増加している。昨年の被害者数は全国で515人、福岡県は49人で、いずれもこの5年間で倍増した。中には脅して画像を送らせる卑劣な手口や、子どもを守るべき立場の教諭が逮捕されたケースもある。県青少年健全育成条例が改正されると、自画撮り画像の要求も摘発対象に加わるため、県警は抑止効果を期待する。

 「胸の写真を送って」。2016年夏、当時未成年だった福岡市の女性は会員制交流サイト(SNS)で知り合った30代の男にこう求められた。ためらったが、「抱きしめたい」などと何度も好意を示されて下着姿の写真を送信した。

 その後、仲たがいをきっかけに連絡を絶とうとすると男の態度は一変。「返信しないとネットに写真をばらまく」と脅された。「軽い気持ちで本当にばかなことをしてしまった」。女性は今も悔やんでいる。

 福岡県警によると、18歳未満の自画撮り被害者数は、13年の22人から昨年は49人に倍増。被害者49人のうち49%は中学生、41%が高校生だった。全体の6割がスマートフォンを使い、冒頭の女性のようにSNSで知り合った相手に画像を送るケースが大半という。

 県警は昨年春、女子高生らに上半身裸の画像を送らせたとして、中学校教諭の男を児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)容疑で逮捕、送検した。押収したパソコンからは100人以上の裸の画像が見つかった。同年11月には、女子中学生に「送らんかったらどうなるか分かるよね?」と要求して全裸の動画を送らせたとして男子高校生を強要容疑で逮捕した。

 加害者は送らせた画像を自身のスマホなどに保存するのが一般的で、画像を証拠として押収すれば逮捕につなげられる。条例改正によって画像の要求段階で相談があれば摘発が可能となり、捜査関係者は「被害の深刻化を防ぐことができる」と話している。

=2018/08/11付 西日本新聞朝刊=

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