「いいの?こんな田舎で」大分に“女性きみまろ” 毒舌が人気のバスガイド

バスガイドの西さん。がまぐちをぶら下げ、観光客を大爆笑させる
バスガイドの西さん。がまぐちをぶら下げ、観光客を大爆笑させる
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昭和の町をゆっくりと走るボンネットバス
昭和の町をゆっくりと走るボンネットバス
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高度成長期を思わせる街並みが残る「昭和の町」
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 愛のある毒舌で「中高年のアイドル」といわれる漫談家の綾小路きみまろさんは、年配層の悲哀を笑いに変える巧みな話術で人気だ。大分県豊後高田市にも「女性きみまろ」と言われる観光バスガイドがいる。西佐知子さん(46)。高度成長期の町並みが残る「昭和の町」で、ボンネットバスの観光客をいじり、車窓から見える店主らをおちょくり、車内を爆笑の渦に巻き込む。さぁ、人気のガイドさんに会いに出発進行!

 満員のバスに西さんが乗り込んできた。濃いブルーの制服に、大きながまぐちをぶら下げている。見た目からパンチがある。

 「こんなに暑いのに。行くとこいっぱいあんのに。いいの? こんな田舎で」

 バスが出発するや、マイクを持つ西さんのいきなりのジャブに笑いが起こる。ちょっときつい言葉も、絶妙な表情と声色で不快にならないから、あら不思議。

 「はい右~。ただの公園よ。でも芝生だけで1千万円。バスが動きだしていきなりお金の話。えへ」「昭和30年代、分かる方~? いいわよ、手を挙げなくて。見たら分かるから」。走りだして1分足らず。ギャグの連発は止まらない。

 西さんは福岡県上毛町出身で、高校卒業後に大分交通(大分市)に入社。2003年に豊後高田市で結婚するまでの13年間、観光バスのガイドをした。その経験を買われ「ボンネットバスのガイドに」と白羽の矢が立ち、09年の運行スタートからマイクを握る。

 「動くいすゞのバスで一番古いの、これ。そんな貴重なバスにさ、なんの遠慮もなく(あなたたちは)タダで乗ってるんだから、対応もそれなりよね~」

 人間なら還暦を過ぎたボンネットバス(25人乗り)。35年以上も野ざらしでボロボロだった車体を、福山自動車時計博物館(広島)で09年に再生して使っている。クーラーもなければ扇風機もない。空調は全開した窓から入る熱風だ。

 「田舎のバスは おんぼろ車 タイヤはつぎだらけ 窓はしまらない~」

 十八番(おはこ)を歌い終わると次はお店のPR。「右手、つぼ焼き芋屋さん。見て。奥に芋みたいな顔のご主人。おいしいに決まってる~」。腹を抱えて笑い「下車したら行ってみよう」と店を覚えている自分がいる。

 いよいよバスは終着点へ。「皆さんぜひ商店街を歩いてくださいね。大人なら、意味、分かるよね~」。最後のオチまで最高。降車後、ちゃんと商店街でキャンデーなどを買いました。あなたも西さんの魔法にかかってみてはいかが?

   ◇    ◇

 「昭和の町」を走るボンネットバスは土日祝日のみ1日9回運行。無料で1周15分ほど。豊後高田市の観光施設「昭和ロマン蔵」発着で予約制。西さんの人気で出発の1時間以上前に予約が埋まることもある。市観光まちづくり会社=0978(23)1860。


=2018/08/18付 西日本新聞朝刊=

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