朝倉市の児童文学作家 飯田栄彦さん遺作 家族が本に 闘病中に執筆「雪の入綾」

飯田栄彦さんの遺作「雪の入綾」を手にする妻の博子さん
飯田栄彦さんの遺作「雪の入綾」を手にする妻の博子さん
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 「昔、そこに森があった」で日本児童文学者協会賞を受賞し、3年前に亡くなった福岡県朝倉市の児童文学作家、飯田栄彦(よしひこ)さん=享年71=の幻の遺作を遺族が3年をかけてまとめ、約100部を自費出版した。タイトルは「雪の入綾(いりあや)」。がんで闘病生活の中、飯田さんが命を削ってつづった。妻の博子さん(67)は「文学の夢を追い続け家族も大事にした人だった。家族へのラストプレゼントになりました」と話している。

 飯田さんは「燃えながら飛んだよ!」で1972年に講談社児童文学新人賞、86年には「昔、そこに-」で日本児童文学者協会賞を受賞した。絵本やエッセーも手掛け、89年からは本紙に連載「おやじの子育て」などを寄稿。演劇に携わるなど活躍したが、2012年にがんと判明。治療しながら執筆や講演を続けたが、15年9月に亡くなった。

 「雪の入綾」の原稿586枚が見つかったのは闘病生活を送った病院のベッドから。命尽きる直前まで、力を入れなくても書ける筆ペンで何度も文を練っていた。博子さんと子どもたちは遺作の出版を決意。手書き原稿をパソコンで打ち直して校正した。

 「雪の入綾」は279ページ。がんで余命短い窯元の老人が初恋の女性に会う旅をするなどして一生を終える物語。「入綾」は舞楽で舞が終わる時に退出する作法を意味する。後書きで子どもたちはこうつづる。「燃え尽きるその直前まで作家として執筆し続けることが、父の入綾だったのだと思います」。本は非売品だが、寄贈先の市図書館で読めるという。

=2018/09/18付 西日本新聞朝刊=

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