冤罪被害者の会が発足へ 初の当事者組織 志布志事件など機に

「被害者が団結し、冤罪がこれ以上出ない法整備を訴えたい」と話す「布川事件」の桜井昌司さん=19日、東京都内
「被害者が団結し、冤罪がこれ以上出ない法整備を訴えたい」と話す「布川事件」の桜井昌司さん=19日、東京都内
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 鹿児島県の「志布志事件」や茨城県の「布川事件」などで、無実の罪で長期間服役したり、違法な取り調べを受けたりした人たちが、「冤罪(えんざい)被害者の会」の設立準備を進めている。被害者が団結し、冤罪防止のための法整備を訴えるのが目的で、来年前半の設立を目指している。関係者によると、冤罪被害の当事者による全国的な団体の結成は初めて。

 呼び掛け人は「布川事件」で再審無罪となった桜井昌司さん(71)=水戸市。桜井さんによると、入会対象は冤罪被害者とその家族、支援者。集会や署名活動などを通じ、捜査機関の収集した証拠の全面開示▽検察側が無罪判決や再審開始決定を不服として上訴できる権利の制限▽全事件での取り調べ全過程の録音・録画(可視化)▽冤罪を生んだ捜査員や取調官の責任の明確化-を実現するための法整備を政府や国会に求めていく。

 再審請求を支援する日本国民救援会などの人権団体とも連携することも想定している。

 桜井さんは1967年に茨城県利根町で男性を殺害したとして逮捕され、強盗殺人罪で無期懲役が確定して96年まで服役した。「うその自白を強制される苦しみは当事者にしか分からない。冤罪を繰り返させないためには、被害者自身が声を上げるしかない」と設立の意義を強調する。

 今年8月には、選挙違反冤罪の「志布志事件」の舞台となった鹿児島県志布志市を訪れ、元被告たちに会への参加を要請。藤山忠(すなお)さん(70)らが快諾した。大阪市の小6女児死亡火災で放火、殺害したとして無期懲役が確定後、再審無罪が確定した青木恵子さん(54)も参加を決めている。

 冤罪被害に詳しい泉沢章弁護士(東京弁護士会)も「密室の取り調べの実態を知る被害者だからこそ、説得力のある訴えで社会を動かせるはず」と会の活動に期待した。

=2018/09/20付 西日本新聞朝刊=

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