大河のヒーローいなくても…佐賀の「維新博」快進撃の謎 入場者、想定の倍

迫力の映像で佐賀の歴史を学べる「幕末維新記念館」の館内
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江藤新平を演じる石井晃一さん
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「リアル弘道館」では、漢籍の素読が体験できる
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メイン会場の幕末維新記念館
メイン会場の幕末維新記念館
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 明治維新150年の記念イベント「肥前さが幕末維新博覧会」が予想以上の人気を集めている。8月末までの来場者は約半年で124万人と想定の2倍。維新の立役者だった「薩長土肥」の中で最も地味なのに、西郷どんも竜馬もいないのに、なぜ? 快進撃の謎を解くため、半日ツアーを体験した。

 スタートは佐賀市城内にあるメイン会場の「幕末維新記念館」。築50年以上の体育館をそのまま再利用した施設だが、事務局の打越隆敏さん(42)は「体験体感型の展示が売りですから」と自信ありげだ。半信半疑のまま会場に入った。

 一歩入ると迫力の音響に驚いた。横長の巨大スクリーンには、藩主・鍋島直正や大隈重信らイケメンの「七賢人」が次々に登場する。なんかいいんじゃない。

 佐賀の「維新物語」が始まる。大砲や蒸気船など最新兵器を製造していた佐賀藩。戊辰戦争が始まっても、直正は内戦に乗じて外国が攻めてくることを恐れ参戦をためらう。ついに朝廷の求めで新政府軍に加わると、佐賀の大砲の威力で内戦は早期に終結した。

 「こんな歴史があったとは…」。物語にすっかり魅了された私を、打越さんは満足そうに眺めていた。

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 記念館を出ると意外な人が待っていた。「私、江藤新平です」。はかま姿で“自己紹介”したのは石井晃一さん(29)。七賢人らを演じながら街を案内する「おもてなし隊」の一員だ。

 「本日は明治の時代からよみがえってきました。私は曲がったことが大嫌い」。しかめっ面を浮かべ江藤新平になりきる。れんが造りの建物や白壁の商家が残る長崎街道へ向かった。

 風情たっぷりの街並み。商店街の角に小さなえびす像があると「佐賀は全国一えびす様が多いのです」。年季の入った店構えの焼き鳥屋さんの前では「ここの味はなかなかです」。地元のうんちくに詳しい、おちゃめな江藤新平だ。

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 たどり着いた先は藩校を模した「リアル弘道館」。かつて大隈重信も泊まったという古民家だ。

 読書に使う書見台が並んだ大広間に入ると、やはりはかまの“先生”が待っていた。「それでは大きな声で読んでください」。当時の子どものように漢籍を素読する。「もっと大きな声で」。先生の厳しい言葉に思わず声を張り上げた。

 近くの「葉隠みらい館」では、武士の心得として知られる「葉隠」の教えをデジタル映像で学ぶ。幾つかの質問に答えると、私にぴったりの葉隠の一文がもらえた。「何事も願ひさへすれば、願ひ出すものなり」。どんなことでも願っていればかなうという意味だ。

 ここには大河ドラマに登場するようなヒーローはいない。豪華なパビリオンもない。ただ、幕末を思わせる街並みがあり、歴史を丁寧に教えてくれる人情味豊かな人たちがいる。「口コミで来場者が増えているんですよ」。打越さんの言葉に深くうなずいた。

 ■日帰りツアー参加者募集

 「肥前さが幕末維新博覧会」の展示施設を巡り、歴史的な景観の街並みをガイドと散策する「肥前さがの歴史をもっと知ろう!」日帰りバスツアーが10月24日、26日に実施される。企画する西日本新聞旅行は参加者を募集している。

 メイン会場の「幕末維新記念館」は佐賀藩の偉業や偉人について映像でダイナミックに紹介。佐賀県初の博物館「徴古館」では学芸員が鍋島家伝来の品を解説する。藩校を再現した「リアル弘道館」で学びを体験、「葉隠みらい館」で自分にぴったりの葉隠の名言を探すこともできる。

 昼食は、和風モダンの宿あけぼの旅館で「有明松花堂」をいただく。伝統工芸「佐賀錦」の手織り体験やキーホルダー作り、白玉まんじゅうと抹茶セットの休憩もある。

 費用は1人7400円。集合と解散は福岡市・天神とJR博多駅前。最少催行人員25人。申し込みは西日本新聞旅行=092(711)5518。

=2018/09/20付 西日本新聞朝刊=

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