キャンピングカーで移住先探し(上) 自然と食 豊かな暮らし 長崎県で体験

長崎県松浦市の定住促進住宅「今福梶の葉団地」
長崎県松浦市の定住促進住宅「今福梶の葉団地」
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新鮮な魚介類が並ぶ平戸瀬戸市場
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長崎県平戸市のゲストハウス「山彦舎」でハンモックに揺られる長女と次女。部屋からは山や海が一望できる
長崎県平戸市のゲストハウス「山彦舎」でハンモックに揺られる長女と次女。部屋からは山や海が一望できる
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福岡市発着で利用したキャンピングカー(右)と長崎発着で使う軽キャンピングカー
福岡市発着で利用したキャンピングカー(右)と長崎発着で使う軽キャンピングカー
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 初体験の第一歩は、以前の勤務先で知り合った長崎県職員からの電話だった。「キャンピングカーで移住先を探しませんか」。福岡市で妻(37)と長女(8)、次女(2)と4人暮らし。利便性には恵まれた住環境だが、自然と触れ合える暮らしも理想。移住者の話を聞くこともできるこの機会に松浦や平戸などを2泊3日で巡り、家族で「憧れの地」探しにチャレンジした。 (北島剛)

■広い室内に満足

 長崎県は3年前から、キャンピングカーで移住先を探せる全国初の事業に取り組んでいる。8月下旬、家族で向かったのは発着場所の福岡空港近くにあるレンタカー会社の営業所。2トン車をベースにしたキャンピングカー「カナリア号」は全長約5メートル、車高約3メートルとでかい。運転できるか…。父親の不安をよそに、子どもは車の中に入ると「わぁ、広い」と大喜びする。

 車内は対面ソファとテーブル、シンク、冷蔵庫などが備わる“動く家”。2段ベッド付きで6人が就寝できる。レンタル代は平日1日約2万円だが県の補助で3千円になるから安い。

 いざ出発。子どもに車内のテレビでDVDを見せたが車酔いしやすい長女が気分が悪いと言い出した。横揺れはやや大きい。

■遊具に囲まれて

 福岡市から西九州道を使って約2時間、長崎県松浦市に到着。県と市の職員と合流し、定住促進住宅「今福梶の葉団地」を見学した。2階建て長屋など33戸がある。案内された部屋は新築2LDKで家賃5万2200円。子どもの人数などで減額される制度もある。入居者は市外が約4割。小中学校も10分以内で不便さはなさそうだ。

 車で15分、市中心部の志佐町の「道の駅松浦海のふるさと館」へ。野菜コーナーに大きめのナスが3本入り120円で並ぶ。「安い」。妻が思わず目を丸くした。地元の新鮮食材が安く手に入るのも移住先選びの重要なポイントになる。

 子育て中の親にはうれしい遊具がそろった施設「みんなの子育て広場うらっこ」にも寄ってみた。移動で疲れ気味の次女が目を輝かせ、おもちゃに夢中になった。施設員の松尾恵さん(32)は昨年、夫や子ども4人と大阪府から移住した。松尾さんは「ゆったりした時間の中で家族と過ごす時間も増えた。移住は正解だった」と満足げに語った。

■虫の音を聞いて

 次の目的地の平戸市に向かった。平戸島の玄関口、田平町の直売所「平戸瀬戸市場」でヒラマサの刺し身などを購入。直売ならではの安さで魚介類が手に入る市場は観光客にも人気だ。

 市職員の案内で築約60年の空き家を見学した。空き家バンク制度の現在の登録数は約25件。市職員は「利用希望者とのマッチングを進めるには足りない」と話す。移住希望者には、いったん市内のアパートで暮らすことを勧めるという。「地域の雰囲気を知って、探したほうが定住につながりやすい」と話してくれた。

 初日は根獅子町のゲストハウス「山彦舎(やまひこしゃ)」に宿泊。宿主の吉田綾子さん(40)がペットの犬猫と出迎えてくれた。海や山が一望できる部屋にはハンモックがあり、子どもは興味津々。ゆらゆら揺られながら寝そべり、キャンプ気分を味わっていた。

 綾子さんと夫佑介さん(40)は2015年に京都府から移住。佑介さんはシーカヤックガイドなどを務めている。住まいは地域住民と協力して古民家を改修し、離れをゲストハウスにした。綾子さんは「困ったときは助け合いが大事。地域の人とうまくいかないと意味がない」。実感のこもった移住アドバイスだった。

 初日は移動が重なり、家族は疲れ気味。虫の音を聞きながら眠りに就いた。

   ◇    ◇

県貸し出し1日最安3000円

 長崎県は「ラクラク移住先探し」と称して、移住希望者にキャンピングカーを貸し出し、県内での移住先を探してもらう事業に取り組む。スタートした15年8月から今年8月までの利用者は57組135人。うち12組27人が移住した。

 手続きはシンプル。希望者は「ながさき移住サポートセンター」に予約。訪問したい市町と、移住相談や空き家見学など希望するメニューを伝え、宿泊日数などの行程表を決める。

 キャンピングカーのレンタル料は1日8000円。見学回数などを増やすと1日3000円の最安値で利用できる。発着は長崎と福岡、佐賀。長崎発着は軽自動車のキャンピングカーのみで貸出は最長1週間。福岡・佐賀発着は協力レンタカー会社の車両を使う。期間に制限はないが利用料金の割引が適用されるのは3日以内。サポートセンター=095(894)3581。

=2018/09/22付 西日本新聞朝刊=

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