改正3年、進まぬ正社員化 派遣法「同じ職場は3年まで」 雇い止め増える懸念

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 派遣労働者が同じ職場で働ける期間を最長3年とした改正労働者派遣法が30日で施行から3年を迎える。改正法には派遣労働者の正社員化を促す狙いがあったが、人件費が増す直接雇用の形で雇い続けることには慎重な企業が少なくないのが実情だ。長く同じ職場で働いてきた派遣社員が雇い止めとなる「派遣切り」も出始めている。

 改正法は、それまで派遣期間に制限がなかった秘書や通訳など26の専門業務を含め、派遣社員が同じ職場で働ける期間を一律3年とした。3年を経過した派遣社員については(1)派遣先企業に正社員化などの直接雇用を頼む(2)派遣会社が無期契約で雇う(3)別の派遣先を紹介する-ことなどを派遣会社に求めた。

 ただ、派遣先の企業には直接雇用の義務はなく、3年たったら別の派遣社員に切り替えることも可能なため、正社員化は期待されたようには進んでいない。

 電気通信業のQTnet(福岡市)は現在、直接雇用や派遣会社の無期雇用への切り替えを進めているという。ただし直接雇用の場合も「まずは正社員でなく契約社員とする例が多い」。福岡県の金融機関の担当者は「人件費も増すのでなかなか直接雇用には替えられない」と漏らした。

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 派遣社員として働く人に話を聞くと、派遣会社が直接雇用の壁となるケースもあるようだ。福岡市内の会社に派遣されているシステムエンジニア(SE)の40代男性は「派遣先は直接雇用に前向きだが、派遣会社が派遣先に要求する紹介料の高さがネックになり、話が進まない」と言う。

 北九州市のコールセンターで勤める女性(57)は昨年、派遣会社と無期雇用契約を結び、同じ職場で働けることになったが「時給は以前と同じ1200円。待遇が良くなったわけではない」と話した。

 人材派遣大手のパーソルホールディングスによると、九州エリアの同社派遣スタッフの2割ほどが法改正に伴う対応が必要で、意向確認を進めている。現時点では、派遣元が無期雇用にして同じ派遣先で働きたいという希望が最多という。派遣先による直接雇用の希望者も少なくないが、希望に応じる構えの派遣先企業は7割にとどまる。

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 「10年以上働いていた多くの人が同時期にまとめて総入れ替えとなった」「9月20日で契約打ち切り。国が勝手に決めた法律で、こちらは仕事がなくなる」-。市民団体「非正規労働者の権利実現全国会議」には、昨年9月から300件を超えるこうした声が寄せられていて、派遣切りに関する相談が増えつつある。

 一方、九州7県の労働局に寄せられた相談は昨年4月~今年7月で計79件。福岡労働局によると、深刻な事例は寄せられていないが、今は人手不足で企業が人員確保を優先していることが背景にあるとみている。

 NPO法人の労働相談センター・雇用アクション福岡の山岡直明副理事長は「形式的に部署の異動を発令して『同じ職場で3年』のルール適用を逃れようとしている企業もあると聞く。今後景気が悪化すれば派遣切りは一気に増える危険がある」と懸念する。

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派遣元に責任持たせよ

 労働問題に詳しい嶋崎量(ちから)弁護士の話 派遣社員は日常的に雇い止めが起きているので、3年ルールで雇い止めになった場合も表面化しにくい。そもそも派遣会社は人材を派遣して利益を得ており“商売道具”を積極的に手放すとは考えられず、派遣先による直接雇用が進むとは考えにくい。一方、派遣会社に無期雇用される場合「非正規雇用の固定化」につながってしまう。改正法には不備が多い。派遣労働者の雇用安定について、派遣元に責任を持たせることが必要だ。

=2018/09/30付 西日本新聞朝刊=

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