子育てと介護あるある…“ダブルケア”漫画に反響 リアルな体験、共感広がる

くろさきあさこさん(左)と、個展会場のレンタルスペース管理者の沢村とよさん=熊本県荒尾市
くろさきあさこさん(左)と、個展会場のレンタルスペース管理者の沢村とよさん=熊本県荒尾市
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ダブルケアの大変さを比喩で表現する4こま漫画
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 「学校の休み時間に国語と算数 同時に勉強して!と言われる感じかと」。子育てと親の介護が重なる「ダブルケア」を題材に、熊本県荒尾市のパートくろさきあさこさん(40)がツイッターで発信している4こま漫画が、反響を呼んでいる。9月に義母(85)が亡くなるまで、幼い子を抱えてもがいた自身の姿を描いた。ダブルケアの実態を伝え、渦中にある人たちにとって身近な理解者を増やそうと、日々ペンを走らせている。

 義母の薬が床に落ち、幼児が口に入れないよう捜し続けたこと。物忘れのある義母から子どもが何度も怒られて感じたストレス。子連れで義母の通院に付き添い疲れ果てたこと…。

 はがきに筆ペンで描く「ダブルケアあるある」シリーズには、体験者ならではのリアルなエピソードが詰まっている。数日に1本のペースで描く作品は、既に80本を超えた。

 幼稚園の教諭だったくろさきさんは、同居する義母の体調悪化を機に退職。2012年に長男(6)、その2年後に次男(3)を出産した。義母の生活介助をする傍ら育児に追われ、「自分の存在が抜け落ちた」ようだったという。

 「僕がいなかったらママは困らなかったね」。介護にかかりきりでいた時、長男がつぶやいたことも。「子どもをもっと大事にしたいのに、いつも後回しにしていた」。どんなに頑張っても全てが足りていない気がして、自分を責めた。

 転機は、昨年9月に参加した起業セミナーだった。講師から「日記でもブログでも、何か一つ続けたら自信になる」との助言を受け、趣味のイラストでダブルケアの経験を描き、ツイッターに載せ始めた。「通院時に子を預けるのはけっこう痛い出費」「わかってくれる人がいてうれしい」。介護士や保育士などさまざまな立場の人がリツイートしてくれ、共感が広がった。

 子どものおかげで家庭内に明るい話題が生まれる、孫に頼まれると義母が折り紙のリハビリに前向きに-。描くことによって視点も変わり、悩ましい暮らしの中にある小さな幸せにも気付くようになった。

 晩産化や高齢化を背景にダブルケア人口は増加傾向にあり、内閣府の調査では推計約25万人が直面しているという。「子どもが幸せに育ち、要介護者がその人らしく過ごすためには、ダブルケアする人が家族の犠牲にならないよう『小さなことでも大変! 辛(つら)い!!は声にして』と伝えたい」。誰もが当事者になり得るからこそ、くろさきさんはそんなメッセージを絵に託す。

    ◇      ◇

 「あるある」シリーズなど、くろさきさんのイラストを展示する初の個展が13、14両日、荒尾市万田のレンタルスペース「さわむらさん家のうら」で開かれる。開館中はくろさきさんも常駐する。入場無料。

=2018/10/11付 西日本新聞夕刊=

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