400年の時を超え…細川家ワイン再興 熊本藩主の古文書を基に

エビヅル(通称ガラミ)が栽培されている現地を視察する五ケ瀬ワイナリーの宮野恵支配人=9月6日、福岡県みやこ町
エビヅル(通称ガラミ)が栽培されている現地を視察する五ケ瀬ワイナリーの宮野恵支配人=9月6日、福岡県みやこ町
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五ケ瀬ワイナリーに持ち込まれた10キロのガラミ(NPO法人豊津小笠原協会提供)
五ケ瀬ワイナリーに持ち込まれた10キロのガラミ(NPO法人豊津小笠原協会提供)
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 熊本藩主細川家が豊前国(福岡、大分両県の一部)を治めた江戸初期、自生するブドウ科のエビヅル(通称ガラミ)でぶどう酒を造ったとする古文書が見つかり、まちおこし団体「NPO法人豊津小笠原協会」(福岡県みやこ町)が当時のぶどう酒の再興に乗り出した。宮崎県五ケ瀬町の「五ケ瀬ワイナリー」が醸造し、年内に完成予定。400年の時を超え、細川家の「ワイン」がよみがえる。

 細川家は1600年代初めの約30年間、小倉藩主として豊前国を治め、現在の北九州市・小倉の礎を築いた。元首相の細川護熙氏は子孫に当たる。

 ぶどう酒製造にまつわる史実は、細川家の史料を所蔵する「永青(えいせい)文庫」(東京)の古文書を調べた北九州市立自然史・歴史博物館(八幡東区)の元学芸員、永尾正剛さん(71)=福岡県行橋市=が論文「細川小倉藩の『葡萄(ぶどう)酒』製造」にまとめた。古文書には、藩主細川忠利(1586~1641)が家臣に命じ、現在の同県みやこ町犀川大村地区に自生していたガラミでぶどう酒を造ったとする記述があったという。同じ研究をしている熊本大も、時代背景などから「薬酒」として造られたとする見解で一致している。

 豊津小笠原協会は永尾さんの論文に注目し、ぶどう酒造りを模索。ガラミの栽培に乗り出し、醸造元を探した。協力を申し出た五ケ瀬ワイナリーの宮野恵支配人(62)が9月にみやこ町の自生地などを視察し、糖度と酸度を調べた結果、醸造可能と確認できた。

 協会の川上義光理事長(69)が今月7日、町有志が集めた10キロのガラミを届けた。ワイナリーは地元税務署に永尾さんの文献を添え、試験醸造の届けを出して醸造に着手する。宮野支配人によると、ワインの瓶(720ミリリットル)で4~5本になりそうだという。

 完成後には協会が地元でお披露目する予定。川上理事長は「細川家がみやこ町でぶどう酒を造った史実は貴重。まちおこしに生かしたい」。宮野支配人は「醸造を通じ、活動のお手伝いができればうれしい」と話している。

=2018/10/12付 西日本新聞朝刊=

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