KYB免震不正、戸惑うマンション住民 「安心買ったはずが…」 九州の物件業者確認

 「うちのマンションは大丈夫か」-。油圧機器メーカーKYBの免震・制振装置データ改ざん問題で、KYBが19日に不正や不正の疑いがある装置を設置したと公表したのは70件、全体のわずか6%にとどまり、九州関連の建築物は含まれなかった。所有者らが了解しなかった物件は公表されず、改ざんの全容は見えない。九州では、タワーマンションの住民が不安を漏らし、マンション業者は改ざんの対象製品かどうかの確認を急いだ。

 「当マンションに設置しているダンパーが該当するか否か。現在、確認作業をしています」。福岡市内の高層マンションでは、居住者向け掲示板にこんな文書が張り出された。管理組合によると、マンションはKYB製オイルダンパーを設置しており、不正のあった装置かどうかを建設会社に問い合わせているという。

 居住する50代の男性会社員は「地震対策がしっかりしている点を決め手に購入した。安心を買ったはずなのに、そこが揺らいでいて残念。ローンもまだ残っているのに…」とぼやいた。別の男性(72)も「もしも大地震があったらと思うと不安。該当した場合、住人のいるマンションで、どうやって装置を交換するのか」と首をかしげた。

 福岡都市圏を中心に685管理組合が加盟するNPO法人「福岡マンション管理組合連合会」(福岡市)には、現時点で相談は寄せられておらず、スタッフが情報収集を続ける。畑島義昭理事長(76)は「2015年に東洋ゴム工業の免震偽装も起きたのに、国は何をしていたのか。チェック態勢を厳格化すれば、もっと早く発覚したのではないか」と憤った。

 九州で物件を手掛けるマンション業者の建築担当者も、KYBからの連絡がなく、不正製品の確認に追われた。大和ハウス工業(大阪市)の担当者は「自社物件を調査中だが、どのくらい時間がかかるのか分からない」。東京建物(東京)の担当者も「急な調査で現場も大変。顧客の問い合わせが出ており、早く安心させたい」と話した。

 KYBは不正製品を原則全て交換する方針だが、製造が追い付かず、時間がかかるのは必至。他の建設工事への影響も懸念される。福岡市中央区のヤフオクドーム隣接地に、免震構造の高層マンション2棟の建設を計画する三菱地所(同)は「工期にどう影響するか分からない。販売に影響が出ないか心配」と語った。

=2018/10/20付 西日本新聞朝刊=

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