障害者は我が社の戦力 福岡の2企業 特性見て補い合う 人材活用法「健常者と同じ」

ごみ処理施設での業務について、写真を指し示して説明する障がい者つくし更生会の従業員=9月、福岡県春日市
ごみ処理施設での業務について、写真を指し示して説明する障がい者つくし更生会の従業員=9月、福岡県春日市
写真を見る

 中央省庁や地方自治体で明らかになった障害者の雇用数水増し。障害者を職場の「お荷物」であるかのように扱う風潮を浮き彫りにしたが、主体性が発揮できる環境や周りの支援があれば活躍できる人は多い。障害者を雇う企業の経営陣は「一人一人の特性を見て、補い合って働く場を用意すれば力を出せる。それは健常者と同じ」と言い切る。

 「座っているだけでいい。電話も取らず、ごみも捨てないで」。大蔵健司さん(55)は約2年前、福岡県内の企業でそんな屈辱的な対応を受けた。

 元銀行員で、約10年前にうつ病を発症。就労訓練を受けた後に、ハローワークを通して入った企業だった。そこを2カ月で辞めて入社したのが「西部ガス絆結(ばんゆう)」(福岡県春日市)。障害者雇用を目的とした西部ガスの特例子会社だ。

 Tシャツのデザインやポスター印刷などを行う店舗兼オフィス(福岡市)に勤務。当初は受付の担当がいなかったことから、大蔵さんが自ら名乗り出てカウンターに立つようになった。励みは客からの感謝。1日に何時間も立ち続けるが「仕事が楽しい」と言う。

 社員19人のうち障害があるのは9人。船越哲朗社長(51)は「得意分野と業務を自然と結び付け、互いを助け合える環境にしてきた」と胸を張る。昨年度、同社の売り上げの半分近くは西部ガスのグループ外から受注し、約300万円の経常利益を出すなど業績にも直結している。

 春日市と同県大野城市の不燃ごみの処理施設を運転・管理する「障がい者つくし更生会」は、34年の歴史がある株式会社で社員39人のうち34人が障害者だ。モットーは本人の可能性を引き出す社員教育だ。

 「『できない』と決めつけない。『できません』という本人の言葉をうのみにしない。『やりたい』と自ら言える段取りをするのがわれわれの仕事」。那波和夫専務は、そうして多くの社員に自信を持たせてきた。

 ある男性社員を新たな部署に応援に行かせた翌日は、上司から必ず「班長が助かったと感謝していた。また来てほしいとお願いされた」と伝えた。何度か繰り返した結果、異動の打診を断る男性の姿勢は一変し、希望して異動してくれた。

 危険物取扱者やフォークリフト操作などの資格を取得した障害者も28人に上る。「もっと社員の力を掘り起こしたい」と那波さん。時間はかかるが、社員が納得した上でやる気に満ちて取りかかる仕事は業績にもつながり、最低賃金を上回る給料を実現できている。

 精神障害者保健福祉手帳を持ち、選別業務の班長を担う男性(45)は「障害の有無や種類が同僚との話題になることはない」。障害により苦手なことを“当たり前”と考え、補い合う社風があると笑顔で話した。

=2018/10/24付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]