ホークス日本一へ、最高の“足場”築く ヤフオクドームのグラウンド整備者・徳永さん 「いつも通り」が後押しに

バッターボックスの土をならす徳永勝利さん=24日、ヤフオクドーム
バッターボックスの土をならす徳永勝利さん=24日、ヤフオクドーム
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 ピッチャーマウンドやバッターボックスの土を丁寧にならし、グラウンドを最高の状態に保つ-。ヤフオクドーム(福岡市中央区)の「グラウンドキーパー」のチーフ、徳永勝利さん(54)はこの道32年だ。27日開幕した日本シリーズで福岡ソフトバンクホークスは敵地で1敗1分け。「自分はいつも通りのグラウンドをつくって待つだけ。ホームで勝ってほしい」。30日から始まる本拠地3連戦、そしてホークスの日本一を願っている。

 「シーズンのはじめから終わりまで変化がなく、選手が何も感じないグラウンドを目指す」。普段は試合後に2時間ほどかけて、他のキーパーと、スライディングなどで土がえぐれた部分を元の状態に戻す。整備器具のとんぼは、身長に合わせて自ら作った。靴の裏やとんぼから伝わる土の硬さや水分量を感じ取り、温度や湿度に応じて赤土、黒土、水などを絶妙なバランスで配合する。

 19歳から愛知県で自動車部品を作る技術職として働いていた。故郷の福岡市で働きたいと考え、22歳の時に見つけたのが、平和台球場でのグラウンド整備の求人。「物作りの仕事と共通点があるかも」と、当時は特にこだわりは持たずに応募した。

 ホークスは1988年に福岡に拠点を移したが、最初は負け試合ばかり。当時の上司から、「優勝するとお客がグラウンドまでなだれこんでくる」と、平和台球場を拠点にしていた西鉄ライオンズの思い出話を聞かされた。「そういう場面には一生立ち会えないんだろうな」。黙々と仕事をこなす日々が続いた。

 ホークスが福岡に拠点を移して、初の日本一を果たしたのが99年。「選手と観客が喜ぶ顔を、また見たいと思った」と約20年前を振り返る。「選手が全力で走れるグラウンドがないとそれはかなわない」

 選手には「トクさん」と呼ばれ、2軍が使っていた雁の巣球場(福岡市東区)も長年整備し、エースに育った千賀滉大選手や、正捕手として活躍する甲斐拓也選手ら、若手が成長する姿も裏方として見守った。優勝すると、選手たちに誘われてビールかけにも加わった。「日本一になった時の笑顔は他の勝利の時とは全く違う。僕らはそれをグラウンドから支える」。とんぼを握りしめ、ヤフオクドームで広島カープを待ち受ける。

=2018/10/30付 西日本新聞朝刊=

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