「性犯罪の危険少ない」防犯アパート人気 警察が“お墨付き”導入広がる

「防犯優良」のプレートが掲げられたセキュリティ・アパート
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携帯ボタンを押すと点灯する赤色灯
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 お部屋探しは防犯を第一に-。全国の防犯設備士協会と警察が連携し、高い防犯機能を備えたアパートに「優良」の“お墨付き”を与える取り組みが広がっている。2011年に先駆けて始めた福岡県では今夏までに全国最多の200棟が「セキュリティ・アパート」として認定され、熊本、佐賀の両県を含む計15道府県で導入している。一般の賃貸住宅よりも入居率が高く、「性犯罪の危険が少なく安心」と、女性や子育て世帯に人気という。

 福岡市東区のセキュリティ・アパートの入り口には「防犯優良」と書かれたプレートが掲げられている。明るさを確保した共用廊下や階段、玄関外には携帯ボタンを押すと点灯する赤色灯、窓の閉め忘れを知らせる警報器…。あの手この手で安全を確保する。

 8月から夫(28)、長女(1)と暮らす女性(27)は「子どもが小さいので防犯設備が充実した物件を選んだ。安心して生活できる」と満足そうに話した。

 福岡県は10年から性犯罪発生件数が10万人当たりで全国ワースト2位が続き、NPO法人「県防犯設備士協会」が11年に認定制度を始めた。県警も12年から三大重点目標の一つに「性犯罪抑止」を挙げ、セキュリティ・アパート拡大に力を入れる。協会と県警は一緒に審査し、全24項目を満たすと「防犯優良」プレートを設置することができる。

 協会によると、犯罪の抑止効果が期待できるプレート設置物件では性犯罪の被害が確認されていない。県内の認定物件の入居率は96・4%で、一般の賃貸住宅の平均81・2%よりも高いという。

 認定物件を手掛けるセキスイハイム九州(福岡市)は「家賃に大差はなく1人暮らしの女性中心に人気が高い。8月に完成した物件も1カ月で満室になった」と手応えを口にする。熊本県内では15年4月から74棟が認定され、佐賀県内では同年7月から8棟が認められた。

 課題は既存物件の防犯対策。県内の認定物件は98%が新築で、既存物件では改修費用が家主負担になるため敬遠されるという。協会の藤満弘事務局長は「既存物件の家主向け説明会を開いて取り組みを広げる。女性や子どもが安心して暮らせる街を目指したい」と意気込む。

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共用部分対策強化が有効

 福岡県警の犯罪予防研究アドバイザーを務める北陸大の山本啓一教授(地域防犯)の話 福岡県で2013~15年に発生した性犯罪を分析したところ、自宅内での被害は全体の9%の149件に対し、エントランスやエレベーターなど集合住宅の共用部分は13%の225件だった。集合住宅の安全性を高めるには共用部分の対策強化が有効だ。

 セキュリティ・アパートはエントランスの明るさやエレベーター内の防犯カメラ設置など共用部分の対策を重視しており、評価できる。共用部分の防犯機能が高まれば、犯罪者がアパートに近寄りがたくなり、周辺の路上での被害防止にもつながるのではないか。共用部分の対策は居住者では難しいため、管理者が意識して取り組んでほしい。

=2018/11/01付 西日本スポーツ=

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