残骨灰処理、尊厳か収益か揺れる自治体 高価金属含む火葬・納骨後の灰

 火葬場での納骨後に残る「残骨灰」処理を巡り自治体の対応が分かれている。残骨灰には金や銀などの高価な金属が含まれることから、福岡市などは売却して収入を得ているが、北九州市は「1円」で業者に委託。かつては売却していたが「遺灰を換金するのはおかしい」という市民の批判を受け、方針転換した経緯があるという。高齢化に伴う本格的な「多死社会」を迎え、各自治体は死者の尊厳と現実の間で揺れている。

 火葬後の灰には歯のかぶせものや人工関節などで使われた金、銀、パラジウム、プラチナなどの「有価金属」が含まれる。北九州市は1991年度以降、入札で最安値を提示した業者に処理を委託。取り出した有価金属は業者の収入になることから、例年は大半の社が1円で入札し、くじ引きで選ばれている。

 これに対し、市民オンブズマン北九州は16日、北九州市では残骨灰の売却で年間4千万~6千万円の利益が見込まれるとの試算を公表し、業務委託を見直すよう住民監査請求をした。オンブズマン側は「残灰と遺骨は別で、遺骨を換金するとの批判は当たらない」と主張。市の担当者は「人により考え方も異なり悩ましい」と漏らす。

 福岡市は2008年度から残骨灰を民間業者に売却。17年度は約3900万円の収入となった。同市によると、金属価格の上昇や火葬件数の増加で08年度と比べ収益は約4倍に。遺族感情については「遺骨は選別して霊園に埋葬している」と配慮を強調する。

 一方、1999年から市営墓地内の倉庫に収めていたという熊本市は、満杯になったため本年度、19年分約300トンの処理を一括して民間業者に委託。有価金属の一部を市に返還させるという。市は「スペースにも限界があるし市の歳入にもつながる」という。

 大分市は「業者の変更で残骨灰の埋蔵地が変わるのは好ましくない」という理由から、市外の業者と長年、一定額で随意契約。佐賀市、長崎市、鹿児島市は北九州市と同様に処理を委託している。佐賀市の担当者は「売却を検討したこともあるが、遺族感情もあり悩ましい。近隣他市の動向を注視している」という。

 墓地埋葬法に残骨灰の規定はなく、厚生労働省は「規制はないので自治体で考えてもらう」としている。

=2018/11/17付 西日本新聞朝刊=

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