災害現場にVR技術 360度から状況把握 復旧迅速化へ導入検討 久留米の国交省九州技術事務所

大分県中津市耶馬渓町の山崩れ現場で4月に撮影したVR画像。実際は360度見渡すことができる(九州技術事務所提供)
大分県中津市耶馬渓町の山崩れ現場で4月に撮影したVR画像。実際は360度見渡すことができる(九州技術事務所提供)
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コンピューターグラフィックスを駆使し、筑後川河川敷を再現した仮想空間(九州技術事務所提供)
コンピューターグラフィックスを駆使し、筑後川河川敷を再現した仮想空間(九州技術事務所提供)
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 福岡県久留米市の国土交通省九州技術事務所は、仮想現実(VR)技術を災害現場で生かす取り組みを進めている。360度撮影可能な全方位カメラを活用することで、現場から離れた対策本部でも、より正確に災害状況を把握することができるという。救助活動や復旧工事の迅速化につながることが期待される。

 九州技術事務所は、防災に関する技術研究や人材育成を担う九州唯一の機関。災害が起きると、無人重機や排水ポンプ車など特殊車両を派遣し、自治体の復旧活動も支援する。「自然災害が頻発する九州でこそ効果が検証できる」として、昨年度からVR技術導入の検討に入った。

 災害現場では道路の陥没や冠水が広範囲に発生して足場が悪く、車両の乗り入れが困難なケースが少なくない。現場から対策本部に口頭や静止画像で報告しても、状況が正確に伝わらなかったり、時間がかかったりするという。

 全方位カメラは撮り漏れがないのが特長。対策本部にいても、ゴーグル型端末を装着すれば現場にいるようなリアルな体験ができ、地形の変化や位置関係を把握しやすくなる。

 同事務所は4月、大分県中津市で6人が犠牲となった大規模山崩れで試験運用した。技術情報管理官の房前和朋さんは「山崩れの規模や位置を体感できた。重機の配置や機器設置箇所を選ぶのにも役立った」と手応えを感じている。

 9月の北海道地震や、10月に佐賀県伊万里市の西九州道でのり面が崩落した現場でも効果を確認。同事務所は、全国の出先機関での導入を目指し、本年度中にも手引を作成する。

 VR技術は研修にも取り入れる予定で、コンピューターグラフィックスを駆使して筑後川河川敷の様子を再現した。ゴーグル型端末をのぞくと河川敷を歩いて堤防の浸水箇所を調べ、護岸の劣化を確認する体験ができる。房前さんは「見るべきポイントや管理のノウハウを深く理解できる」と話す。

=2018/11/20付 西日本新聞夕刊=

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