「青空戻った北九州」舞台化 婦人会が公害告発した映画もとに 25日、市民ら30人出演

「北九州の空を青空に変えた人々の話を今に伝えたい」と稽古に励む出演者たち=北九州市小倉北区
「北九州の空を青空に変えた人々の話を今に伝えたい」と稽古に励む出演者たち=北九州市小倉北区
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 主婦たちが取り戻した北九州市の青空の物語を、次代に伝えたい-。公害に苦しむ子どもたちの苦境を世に訴えようと、戸畑の婦人会が1965年に8ミリフィルムで製作し、記録作家の故林えいだいさんが構成に携わった公害記録映画「青空がほしい」が初めて舞台化され、25日に上演される。取り組むのは、戸畑区婦人会協議会のメンバーら市民たち。現在の「環境都市・北九州」の原点となった公害告発運動を語り継ごうと、挑戦している。

 煙突から噴き出る「七色の煙」、黄色にかすむ空…。「煙によって発展してきた北九州市はばい煙とガスに覆われ、家族の健康は脅かされ、私たち市民の生活は大きな被害を受けてきました」-。演劇「セピア色の町 青空を取りもどした女たち」は、映画の場面を織り込みながら、工業地帯として繁栄した地域で起きた深刻な公害被害を訴える。

 劇には市内で朗読教室を開く坂根啓子さん(80)や生徒、戸畑区婦人会協議会メンバー、北九州市立大の学生ら8~80歳までの約30人が出演。大半は演劇の経験がなく、5月から毎週土曜日に小倉北区の練習場で稽古に励んできた。

 林えいだいさんや当時の婦人会リーダー毛利昭子さん(故人)の役も登場。工場勤務の夫との対立などを乗り越え、主婦たちが勉強して映画を完成させるまでを描く。劇を企画した坂根さんは「行政でも企業でもなく、家族への愛情が北九州の空を変えたことを表現したい」と狙いを語る。

 出演者の多くは、実際に公害を体験してきた。婦人会の主婦役を務める中嶋かつ子さん(58)=戸畑区=は幼いころ、絵に海を焦げ茶色、空を緑色で描いた。実家の目の前の洞海湾と空の色だ。病弱でアレルギーにも苦しんだ。同じく主婦役の佐藤妙子さん(77)=同=は地元の中学校で語り部活動に取り組む。「今の青い空は当たり前のものではなく、婦人会の先輩のおかげ。若い人にも知ってほしい」。思いを胸に、本番に臨む。

 舞台は25日午後2時から小倉北区の市立男女共同参画センター・ムーブで。入場料は一般千円、中高大生500円、小学生以下無料。

=2018/11/21付 西日本新聞朝刊=

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