横光利一“幻の句集” ゆかりの宇佐市が70年経て出版へ 戦後の混乱で発行寸前中止に

横光利一
横光利一
写真を見る
大分県宇佐市が出版する「横光利一句集」
大分県宇佐市が出版する「横光利一句集」
写真を見る

 川端康成らと新感覚派文学運動を起こした作家横光利一(1898~1947)の未発行の句集が24日、「横光利一句集」(四六判、169ページ)として初出版される。横光の死後、俳人高浜虚子らが関わって追悼句集として発行寸前だったが、戦後の物資不足などから中止となっていた。出版するのは横光の父親の出身地である大分県宇佐市で「横光の優れた俳人としての側面を知ってほしい」としている。

 「新感覚派の旗手」と呼ばれた横光は福島県生まれ。早稲田大中退後に小説「日輪」「蠅(はえ)」でデビューして戦前の文壇をリードし、川端らと新感覚派文学運動を起こした。小説家として活動する一方、多くの俳人を友人、門下に持つなど俳句を愛し、多くの句を残した。

 句集は、横光が亡くなったことを受け追悼句集として48年に企画された。虚子、俳人水原秋桜子のほか、作家久米正雄が序文を書き、まな弟子の俳人石塚友二が横光の俳句の中から268句を選んだとされる。市などによると、終戦後の物資不足に加え、出版予定だった東京の出版社の経営が傾いたことから、句集は発行寸前で立ち消えになったらしい。

 死後半世紀以上を経て出版された「定本横光利一全集」(河出書房新社)補巻に、句集は収録されたが、市は「手頃な価格の句集を出版することで、多くの人に横光の魅力に触れてほしい」と出版方針を決定。河出書房新社などの許諾を得て、単独出版にこぎ着けた。市は2千部を作製。価格は千円(税込み)で、市民図書館などで販売する予定。同館=0978(33)4600。

=2018/11/21付 西日本新聞夕刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]