手紙朗読、被災者の力に 朝倉・地域放送の塚本さん 「杷木内外から思い届けて」

「古里への思いを届けて」と呼び掛ける塚本千枝さん
「古里への思いを届けて」と呼び掛ける塚本千枝さん
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 昨年7月の九州豪雨で被災した福岡県朝倉市杷木地域でかつて、家庭に流れる有線放送のアナウンサーなどを務め、住民から「千枝ちゃん」と親しまれた女性が「被災者の心を一つにしたい」と6年ぶりに放送の場に戻ってきた。名は塚本千枝さん。地元を離れた被災者が多いことから、地域内外から届く古里への思いをつづった手紙を朗読する番組を始め、被災者を勇気づけている。

 塚本さんは旧杷木町職員になった1994年から18年間、電話回線を使って生活情報などを流す有線放送のアナウンスや番組作りに携わったが、2012年に産休を機に配置転換で現場を離脱。今年3月には、市役所を退職した。

 一方、放送は昨春、「杷木地域コミュニティ放送」としてリニューアル。スタッフから「番組作りを教えてほしい」と誘われていたことや、九州豪雨で傷ついた古里への思いがくすぶっていた塚本さんは「杷木のために」と復帰を決心。今年10月、マイクの前に再び座った。計1365カ所の世帯、事業所を対象に流れる番組で、芋掘り体験など地域の話題を自ら取材し伝える一方、古里への手紙を朗読する「ふるさとへの思い」というコーナーを新設。11月には2人から届いた手紙を読んだ。その一つは次のようにつづられていた。

 「(豪雨をへて)今年も、春は桜が夏にはしたたる木々の緑が、傷ついた山や里を彩ってくれた(中略)足を踏ん張り、これからもここで暮らしていきます。この『ふるさと』が、かつての姿を取り戻すことを願い、心より祈って」

 心を込めてゆっくりと読み進める塚本さんの朗読に放送後、「感動した。よかった」との声が多数寄せられた。反響を受けて塚本さんは「杷木以外からもたくさん手紙を届けてほしい」と呼び掛ける。

 「古里の思い出や懐かしい風景…。思いを届け合うことで離れ離れでも心がつながる。支えになる」。そう話す塚本さんは手紙がたまれば朗読会の開催も夢見ているという。送り先は杷木地域コミュニティ放送事務局(朝倉市杷木池田483の1)。

=2018/12/27付 西日本新聞朝刊=

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