九州豪雨1年半、なお1000人超避難 農地復旧これから

川の氾濫などで農地が大きな被害を受けた朝倉市黒川地区。農家が「黒川故郷米サポーター」を募集している
川の氾濫などで農地が大きな被害を受けた朝倉市黒川地区。農家が「黒川故郷米サポーター」を募集している
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 福岡、大分両県で40人が亡くなり、2人が行方不明になった九州豪雨から5日で1年半になった。福岡県朝倉市と東峰村、大分県日田市では、千人以上が今も仮設住宅や、行政が民間賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」などで避難生活を送っている。国は2年の入居期限を延長しない方針で、入居者は夏までに民間の借家や災害公営住宅などへの転居、自宅再建を急ぐことになる。

 仮設住宅などで避難生活を送るのは昨年11月末現在、朝倉市397世帯975人、東峰村26世帯58人、日田市31世帯64人。朝倉市と東峰村では災害公営住宅など102戸を建設中で7月までの完成を目指す。日田市も、被災者向けに市営住宅を建てる方針だ。

 ただ、自宅再建が間に合わないなどの理由から民間の借家に住まざるを得ず、家賃支援が必要な被災者も朝倉市で約150世帯あるという。

 基幹産業の農業復興が本格化するのもこれから。3自治体の中で最も農業被害の大きかった朝倉市。米やネギの生産が盛んな平野部の田畑のうち約180ヘクタールでは市によって先行して土砂撤去が進められ、ほぼ完了したが、農家による自力復旧の農地や水路改修の問題が残る。

 特産の柿生産が盛んな山間部(約40ヘクタール)は工事が難しく、市による復旧はこれから。川沿いの農地など被害の大きかった農地は区画整理の手法による抜本的な再生が始まったばかりだ。

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被災地の米食べて応援 朝倉・黒川の農家 年間契約サポーター募集

 九州豪雨による川の氾濫や山からの土砂流入で壊滅的な農業被害を受けた福岡県朝倉市の黒川地区で、復活への第一歩として、地元農家が中心になり、都市住民に年間契約で米を購入してもらうサポーター制度を始めた。水の良さに加え、朝夕の寒暖差が大きく、おいしさに定評がある黒川米。農家のリーダー鳥巣良彦さん(64)は「次の世代がこの土地で農業ができるよう、消費者とのつながりや経営基盤をつくりたい」と話している。

 山間部にある同地区は「水田の8~9割」(地元農家)が土砂に埋もれた。現状復旧は難しく、区画整理の手法を使った農地の再生を目指している。

 農家と協力する地元のボランティア団体「黒川復興プロジェクト」(柏田智代表)によると、東京であった朝倉出身者との交流会で、農家支援として年間購入の案が持ち上がった。黒川地区に声掛けすると鳥巣さんら4農家が「残る農地で頑張る」と応じた。

 サポーターは品種にかかわらず全て1キロ500円で年間購入。1回当たり3キロか5キロを毎月か隔月で受け取る4コースがある。価格は年間9千~3万円(送料は別で相談に応じる)。

 チラシなどで「黒川故郷(ふるさと)米サポーター」として呼び掛けると、東京などから既に約20件の契約が入ったという。昨年秋に収穫された米から発送を始めた鳥巣さんは「復興への道は遠い。それでも前を向きたい」と力を込めた。

=2019/01/05付 西日本新聞朝刊=

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