松橋再審、早期無罪へ前進 初公判2月8日 地裁、自白調書採用せず

第2回目の3者協議に向かう松橋事件の弁護団=11日午前9時半ごろ、熊本地裁
第2回目の3者協議に向かう松橋事件の弁護団=11日午前9時半ごろ、熊本地裁
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 1985年に熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で男性が刺殺された松橋事件で、殺人罪などで服役した宮田浩喜さん(85)のやり直し裁判に向けた裁判所、検察側、弁護側による第2回3者協議が11日、熊本地裁(溝国禎久裁判長)であり、初公判を2月8日に開き、即日結審することで合意した。地裁は、確定審で有罪の根拠となった自白調書を証拠採用しない方針を示した。検察側が殺人罪の立証は行わないと表明していることから、早期に無罪が確定する見通しとなった。

 協議後に記者会見した弁護団によると、地裁は、自白調書の証拠調べを検察側が請求しても「採用しない方向で考えている」と明言したという。再審公判の進め方は23、31日の3者協議で決める。

 自白調書を巡っては、地裁が昨年12月の前回協議で、宮田さんの体調などを考慮し、早期判決に向け、検察側に証拠調べの請求取り下げを提案。検察側は意見書で応じない方針を示し、今回の協議でも主張を維持した。

 宮田さんは脳梗塞の後遺症と認知症を患い、熊本市の介護施設で暮らす。最近は寝たきりの状態が多く、弁護団は「宮田さんにとってかなり喜ばしい流れ。再審の過去の例に照らしても、裁判所は大きな一歩となる方針を示した」と評価した。

 第2回協議は当初、31日に予定されていたが、迅速な審理のために前倒しで開催された。

 宮田さんの再審請求を巡っては、地裁が2016年6月、捜査段階の自白の信用性を否定し、再審開始を認める決定をし、17年11月に福岡高裁が支持した。最高裁が昨年10月、検察側の特別抗告を棄却し、再審開始が決まった。

 弁護士白書によると、日弁連が支援した再審事件のうち、やり直しの裁判が開かれた16事件で無罪が確定した。松橋事件も日弁連支援事件の一つ。九州の主な再審事件では、死刑囚として初めて再審無罪(1983年)となった「免田事件」以来のやり直し裁判となる。

【ワードBOX】松橋事件

 1985年1月8日、熊本県松橋町(現宇城市)の民家で男性=当時(59)=が血を流して死亡しているのが見つかった。男性の将棋仲間だった宮田浩喜さんが「刃物で刺した」と殺害を認めたため、県警が同月20日に逮捕。宮田さんは公判途中から「自供の大部分は偽りだった」と否認に転じ無罪を主張したが、地裁は自白に任意性、信用性があると認め懲役13年の判決を言い渡した。90年に最高裁で確定して服役、99年に仮出所した。2012年3月、成年後見人の弁護士が再審請求。18年10月に最高裁が再審開始を決定した。

=2019/01/11付 西日本新聞夕刊=

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