小学教員採用の体育・音楽実技を廃止 熊本県教委 志願者増を狙う

 熊本県教育委員会は、今夏に実施する2020年度教員採用試験から、小学校教諭などの実技試験(体育、音楽)を廃止することを決めた。九州の7県と3政令市で実技試験を完全に廃止するのは初めて。佐賀県教委も水泳と音楽の実技廃止を検討しており、いずれも志願者数の増加が狙いだ。ただ、専門家は「志願者減の原因をきちんと分析すべきで安易な試験廃止は教員の質低下にもつながりかねない」と指摘している。

 熊本県教委によると、これまで採用試験では2次考査で体育(水泳、器械運動)と音楽(指定曲のピアノ伴奏)の実技試験を実施。論述試験や個人面接などと合わせて採点していた。今後、実技を除いた配点などについて詰めるという。

 方針転換の背景には、ベテラン教員の大量退職が進む中で教員確保に苦戦していることがある。県教委によると、09年度採用試験は採用数99人に対し927人が出願し、倍率は9・4倍。その後は、採用枠が増える一方で志願者は減り、19年度採用試験では161人に対し366人と倍率2・3倍に落ち込んだ。

 県教委の担当者は「(体育や音楽は)大学などで教員免許を取得する過程である程度学ぶので影響は少ない。志願者の負担を減らし、教員を目指す人を増やしたい」と話す。

 19年度採用の志願倍率が1・61倍だった佐賀県教委も20年度採用から水泳と音楽を廃止することを検討中。北九州市教委は19年度採用から体育を廃止した。残りの九州5県と福岡、熊本両市の教委は、いずれも20年度採用について「未定」としている。

 文部科学省によると小学校教員の09年度採用試験では水泳56、音楽は51の道府県・政令市教委が課したが、18年度は水泳42、音楽44に減少。13年度採用から体育と音楽の実技試験をやめた埼玉県教委では廃止後に志願倍率が一時微増した。

 教員養成に詳しい帝京科学大の釼持勉教授は「九州は教員採用試験の倍率が1倍台の県が多く、全国的にみても倍率低下が著しい。原因が試験内容なのか、教員職の不人気にあるのか分析が必要」と指摘。「教職員の労働環境のブラック化など教育現場の課題に向き合わなければ倍率向上にはつながらないのでは」と疑問を呈している。

=2019/01/25付 西日本新聞朝刊=

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