平成へ改元の元号20候補 大野城の自宅にメモ 故目加田誠・九州大名誉教授が推敲

見つかった手書きメモ。右から5番目の「修文」は最終候補に残った
見つかった手書きメモ。右から5番目の「修文」は最終候補に残った
写真を見る

 1989年の平成への改元で、新元号案の考案者の一人だった故目加田(めかだ)誠・九州大名誉教授(中国文学)の推敲(すいこう)用手書きメモが福岡県大野城市の自宅で見つかった。メモには少なくとも20案が記され、このうち「修文(しゅうぶん)」は「平成」「正化(せいか)」とともに最終3案に残った。研究者は「元号の考案過程を知る非常に重要な資料」と評価している。

 目加田氏は、中国最古の詩集「詩経」を日本で初めて現代口語訳したことで知られる。メモは計9枚。原稿用紙や便箋に万年筆や鉛筆などで手書きしていた。

 記された元号案は「修文」や「天昌(てんしょう)」「靖和(せいわ)」「普徳(ふとく)」など計20案。このうち10案については「詩経」のほか、同じく中国の古典である「書経」「易経」から引用しており、社会の理想を表すものが多い。

 赤のボールペンで案を丸で囲んだり、一度書いた案を消したりするなど、推敲の過程がうかがえる。

 目加田氏は1994年に亡くなった後、遺族が大野城市に蔵書1万6千冊を寄贈した。市の担当者が2011年に目加田氏の自宅で蔵書を整理していた時、メモを発見したという。

 市は、目加田氏と親しかった竹村則行・九州大名誉教授(同)に解析を依頼、筆跡などから直筆メモと判断した。竹村氏は「『修文』は武器を捨て、文化や学問を身に付ける、の意。メモが残っていたのは奇跡的で、推敲を重ねた先生の真心が見える」と語った。

 市は3月1日から5月26日まで、市役所近くの「大野城心のふるさと館」でメモを公開する。

    ◇      ◇

■非常に重要な発見

 元号に詳しい京都産業大の所功(ところ・いさお)名誉教授(日本法制文化史)の話 新元号案を選ぶ過程が分かる資料は初めてで、非常に重要な発見だ。目加田誠氏が新元号案の一つ「修文」の考案者であることは知られていたが、出典や文字を選んだ理由は明らかになっていなかった。(政府の元号選定要領には既存の元号や俗用の言葉は避けるとあるが)中には先例や俗用に該当する文字もあり、学者は「純粋にいい案を出す」ことを依頼され、先例や俗用の確認は政府側が担う、と役割分担されていたのが読み取れる。

=2019/02/17付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]