後継バス、不通鉄道救うか 津波被害の大船渡線にBRT 本数や駅数増利便図る 震災で人口減利用低迷

線路跡のトンネルを抜ける大船渡線BRTのバス=17日、宮城県気仙沼市
線路跡のトンネルを抜ける大船渡線BRTのバス=17日、宮城県気仙沼市
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 災害で不通になった鉄道の復旧手段として、バス高速輸送システム(BRT)が注目されている。線路敷地にバスを走らせ、運行を再開するBRT。復旧にかかる費用が鉄道より安く、維持費も少ない。2017年7月の九州豪雨で一部区間の不通が続くJR日田彦山線でも、導入の可能性が取りざたされた。利便性や観光への効果は損なわれないのか。11年3月の東日本大震災の津波で壊滅的な損害を受け、BRTで再開したJR大船渡線(宮城、岩手)に乗車し、検証した。

 17日の日曜日。気仙沼駅(宮城県気仙沼市)。午前11時前、レールを撤去して舗装した専用道に、BRTのバスが入線した。路線バスと同じ約80人乗りのワンマン車両だ。発車後、すぐにトンネルを通過。粗いコンクリート壁が窓に迫り、道路との違いを実感する。

 2キロ走り、道路に出た。大船渡線のBRTは44キロ中、27キロは一般道を走行する。駅は普通のバス停で、乗降客がなければ通過。津波の被災や、住宅の高台移転でできた広大な空き地が車窓に広がる。

 再び専用道に入った。最高時速は60キロだが、交差点や他の車がなく、走りは道路よりスムーズだ。終着の盛(さかり)駅(岩手県大船渡市)は、三陸鉄道とホームを共用している。乗客は高齢者が多かった。

 1月下旬の平日夕方にも、陸前高田駅(同県陸前高田市)から気仙沼駅まで乗車。乗客は20人で、高校生が大半を占めた。

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 気仙沼-盛は津波で線路の35%が流失した。JR東日本は13年3月にBRTで仮復旧した上で、将来にわたってBRTで運行することを提案。鉄道で復旧する場合は400億円かかると試算し、うち270億円の公費負担を求めた。鉄道での復旧を要望していた気仙沼、陸前高田、大船渡の3市は15年12月、負担は困難と判断し、鉄道をあきらめBRTでの運行継続を受け入れた。

 鉄道と比べ、本数や駅の多さが利点だ。現在の本数は最多区間で上下計53本。震災前の鉄道より34本増えた。駅は8増の20カ所で、学校や病院の近くにも設置。住民や観光客の利便を図っている。3月にはさらに2増。維持費も安く、JR東日本によると、鉄道時代の6割という。

 一般道の渋滞による遅れはしばしば発生するが、同社によると9割が5分以内で、鉄道の定時性を引き継いでいる。気仙沼市の高校2年、小野寺孝樹さん(17)は「鉄道じゃなくてもBRTで十分だ」と話す。

 課題はBRT化が利用者増につながっていない点だ。17年度の陸前高田駅の1日平均乗降客数は75人で、09年度の3分の1に激減した。震災による人口流出が主因だが、沿線自治体には、速達性や乗り心地の問題で、東北新幹線への乗り継ぎや観光利用には向かないとの声が寄せられている。

 「もともと過疎地で、震災がなくても将来の鉄道維持は厳しかった。街の復興にも巨額の費用が必要で、BRTはやむを得ない選択だった」。大船渡市のタクシー運転手、田中英治さん(68)は多くの住民の気持ちを代弁した。

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【ワードBOX】BRT(バス高速輸送システム)

 連節バスや専用道などを活用したバスのシステム。鉄道よりコストが安く、路線バスと比べて大量輸送や定時性に優れる。全国で18カ所運行。JR東日本は、東日本大震災で被災した大船渡線と気仙沼線に導入した。JR九州の青柳俊彦社長は昨年8月、日田彦山線を鉄道以外に転換する可能性に言及し、BRT導入を示唆したとも受け取られた。都市部の渋滞緩和の手段としても注目され、福岡市と西日本鉄道は、市中心部で試行運行。北九州市でも今年夏ごろ運行が始まる。

=2019/02/26付 西日本新聞朝刊=

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