脱原発、思い込め1000句 元福島県職員が川柳 大津波 対策せざるが 想定外 「玄海」「川内」も詠む

伊東功さんが出版した脱原発「福島からの風」(文芸社刊)
伊東功さんが出版した脱原発「福島からの風」(文芸社刊)
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 福島第1原発事故を経験した福島県で、脱原発の願いを込めた川柳を詠み続ける人がいる。深刻な放射線被害を受けた古里への悲しみ、完全収束を見ないまま各地の原発が再稼働することへの不安、憤り…。事故から8年の間に詠んだ句は千近く。玄海原発(佐賀県玄海町)や川内原発(鹿児島県薩摩川内市)がある九州に思いを寄せた作品もある。皮肉たっぷりに警鐘を鳴らし、古里やこの国に暮らす人々への愛を込める。

 この人は、福島県本宮市の伊東功さん(68)。福島県職員を2010年に退職し、妻や孫たちとの楽しい「第二の人生」に踏み出した1年後、原発事故は起きた。一時は県外に避難した妻や孫と離れ離れに。「事故によって人生が、いっぺんに奪われた」と振り返る。

〈大津波 対策せざるが 想定外〉

〈爆発も ひとつの事象と 説明し〉

 気力を失い、無為な日々を送る中、妻の勧めで川柳を始めた。これまでに脱原発「福島からの風」と題した3冊の句集を制作。避難者を訪ね、無料で配った。県外の多くの人に触れてもらおうと、昨年6月には掲載句を1冊にまとめ、同じ題名で文芸社(東京)から自費出版した。

〈孫集う 盆正月は いつの日か〉

〈フクシマを 忘れないよと 友ポツリ〉

 悲惨な原発事故を二度と起こしてほしくないという思いは、九州にも向く。

〈川内を させてはならぬ センダイに〉

〈ムツゴロウ 飛んで跳ねても 逃げられず〉

 福島県民はこれからも、原発事故と向き合っていく。伊東さんが気に掛けるのは「記憶の風化」だ。

〈五輪より 一輪の花 被災地へ〉

 「東日本大震災と原発事故からの復興は、まだ遂げられていない。震災のこと、原発事故のこと、被災地とそこで暮らす人たちのことを忘れないで」

=2019/03/13付 西日本新聞朝刊=

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