地下水調査「紙」で手軽に 汚染や開発の影響「目で見て分かる」 環境教育にも有効 山口大・山本准教授開発

地下水を再現した実験水槽にペーパーディスク型の地下水流向流速計を差し込む実験=山口県宇部市の山口大工学部
地下水を再現した実験水槽にペーパーディスク型の地下水流向流速計を差し込む実験=山口県宇部市の山口大工学部
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スポンジの間から取り出した紙製ディスク。中心部の点が水流でにじんで軌跡を描いている
スポンジの間から取り出した紙製ディスク。中心部の点が水流でにじんで軌跡を描いている
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山本浩一准教授
山本浩一准教授
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 紙とスポンジで作った簡単な計器で、地下水の流れの速さと向きを計測する手法を山口大工学部の山本浩一准教授(環境工学)が開発した。工場跡地の地下水の汚染状況や、大規模開発による地下水への影響の調査など幅広い用途で使えるほか、赤外線カメラなどを使う現行の手法に比べて手軽でコスト削減にもなる。メーカーが4月にも、従来機器の約30分の1の価格で市販する。

 新たな測定機器は「ペーパーディスク型簡易地下水流向流速計」。透水性のスポンジで直径5センチの紙製ディスクを挟んだ「センサー」を金属棒の先端に取り付けている。

 ディスク中心には直径3ミリの点を印刷。事前に掘削した穴に差し込み、水でにじんだインクが描いた軌跡から流速と流向を推定する仕組みだ。例えば「60分間計測し、軌跡長が15ミリだった場合、流速は分速0・053センチ」など、換算表から簡単に判定できる。

 現行では地下水の動向を温度変化から推定したり、地中に入れた赤外線カメラで粒子の動きを観測したりする手法が取られており、既製の機器は約300万~500万円。調査地点に電源や制御用パソコンを持ち込む必要もあった。

 「紙型」の機器開発には2009年から取り組み、14年に特許を取得。安価なため、複数箇所を同時に調査し、より正確なデータを得ることができるという。

 東京電力福島第1原発では冷却水による地下水の汚染が問題になっている。山本准教授は現地での汚染状況の調査にも有効だと見込んでおり「専門知識がなくても測定できるのが利点。目で見て流れが分かるので、子どもの環境教育にも役立つ」と話している。

=2019/03/25付 西日本新聞夕刊=

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