あの日を忘れずに 献花台、更地、被災史跡…住民、記憶たどり「まち歩き」 熊本・益城町

熊本地震で被災した地蔵堂。3年たっても当時のままの姿を見つめる住民たち=14日午前、熊本県益城町
熊本地震で被災した地蔵堂。3年たっても当時のままの姿を見つめる住民たち=14日午前、熊本県益城町
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林真二さんの写真展を見ながら、地震当時の話をする住民たち=14日午前、熊本県益城町
林真二さんの写真展を見ながら、地震当時の話をする住民たち=14日午前、熊本県益城町
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 熊本地震で最大震度7を2度観測した熊本県益城町で14日、まち歩きがあった。土地区画整理事業で変わってしまう前に、まちの姿と被災の記憶を心にとどめようと、住民約20人が参加した。あの日から3年。仮設住宅に暮らす人や自宅を再建した人が、さまざまな思いを胸に2キロのコースを巡った。

 企画したのは、甚大な被害を受けた上町地区のまちづくり協議会。同地区では2人が命を落としており、参加者は町交流情報センター「ミナテラス」に集まって献花台で手を合わせた。

 センターでは、町内唯一の写真館「益城カメラ」を営む林真二さん(60)の写真展が開かれている。倒壊した家屋、陥没した道路、避難所にあふれる被災者、そして、益城のいま。地震直後から町内を撮り続けた2万枚の中から、50点を展示している。見入っていた協議会の富田正寿会長(70)は「当時を思い出すね」。

 曇り空の下を歩くと、新築の家が点在し、草が生えた更地があちこちにある。「ここ誰が住んでたっけ?」。話しながら記憶を探す中村光男さん(58)と妻京子さん(59)は一昨年12月、町内に家を再建した。

 未明の本震後、余震があるたび、あちこちで悲鳴が聞こえた。上空にはヘリが飛び、大きな音を立てた。夜が明けると、倒壊した民家の周りに砂ぼこりが舞っていた。「あの時のことを忘れることなんか、できるはずない」。中村さんは語気を強めた。

 倒壊した木山神宮、土台が傾いた地蔵堂など被災した史跡も訪ねた。「いろんな発見があった」と話す上嶋高憲さん(64)とみつ子さん(63)夫妻は、町内の安永仮設住宅で暮らす。全壊した自宅は、区画整理区域に入り、再建は見通せない。隆起した道、工事の看板があちこちにあった。

 まち歩き後、集会所の「きやま座」で非常食を食べた。富田会長は「何かを発見して驚いたり、悲しそうだったりするみんなの表情が印象的だった。復興は道半ば。あの日を忘れずに、前へ進みたい」と語った。

=2019/04/15付 西日本新聞夕刊=

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