天念寺耶馬と無動寺耶馬、国名勝へ 六郷満山1300年へ吉報 [大分県]

標高差約90メートルの断崖絶壁に架けられた天念寺の無明橋(右)
標高差約90メートルの断崖絶壁に架けられた天念寺の無明橋(右)
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天念寺耶馬と長岩屋川の狭い平地に立つ講堂
天念寺耶馬と長岩屋川の狭い平地に立つ講堂
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そそり立つ無動寺耶馬の麓に立つ本堂(下)。天念寺無明橋からの遠望
そそり立つ無動寺耶馬の麓に立つ本堂(下)。天念寺無明橋からの遠望
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天念寺境内にあり、県指定史跡でもある川中不動
天念寺境内にあり、県指定史跡でもある川中不動
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 来年、開山1300年を迎える国東半島の六郷満山に「吉報」が届いた。16日、国の文化審議会が、豊後高田市の天念寺耶馬(同市長岩屋)と無動寺耶馬(同市黒土)を国の名勝に指定するよう答申。県内で4件目、同市では初だ。「観光振興、地域おこしの起爆剤になってほしい」「来年に向け幸先が良い」。地元住民からは期待する声が多く聞かれた。 (写真はいずれも豊後高田市教育委員会提供)

 国指定名勝は、文化財保護法に基づき、景観が優れ、芸術上または観賞上価値の高いものとして文部科学相が指定する。

 天念寺と無動寺の後背にある岩峰(耶馬)は、美しい景観とともに、古くから僧侶たちの修行の場でもあった。多くの石仏、石塔も残る。奇岩が連続する景観は耶馬渓(中津市)を思わせ、千年以上続く半島の霊場を巡礼する「峯入り」の峯道でもある。

 独特の景観美と宗教が織りなした歴史は、古くから文人たちも魅了。広瀬淡窓らと「豊後三賢」と称される江戸期の儒学者三浦梅園(1723~89)は、僧侶が歩いた峯道を「天門之道」と表現。漂泊の俳人種田山頭火(1882~1940)は1929年、国東市の赤根温泉に逗留(とうりゅう)。美しい景観を「小耶馬渓」と絶賛。「いたゞきの しぐれに たゝずむ」という俳句も残した。

 文化庁は「両寺は、固有の岩峰や無明橋など独自の景観美と古代以来の信仰、互いに眺望の対象となっているなど顕著な特徴がある」と評価する。

 天念寺の地元・長岩屋地区の自治委員で、修正鬼会保存会の大塚敏幸会長(56)は「観光客が少しでも増え、地域が活性化するきっかけになれれば」と期待。無動寺総代長の岡部功さん(69)は「来年、六郷満山開山1300年を控え、本当に良いタイミング。古里の誇れる景観を全国に発信していく機会にしたい」と話している。

 市では今後、記念シンポジウム(11月予定)や市民向け探訪ツアー(今秋予定)の開催などを通じて、名勝指定の機運を盛り上げる方針。佐々木敏夫市長は「二つの寺院を地域の宝として適切に保存するとともに、観光資源として活用にも努めたい」と話している。

=2017/06/17付 西日本新聞朝刊=

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