返納退職金の評価争点 「求償権」訴訟15日に最高裁判決 大分県教員不正採用 [大分県]

 大分県の教員採用試験の不正に絡み、不合格となった受験者に県が支払った賠償金を、県教育委員会の元幹部らに請求するよう県に求めた住民訴訟の判決が15日、最高裁で言い渡される。先立つ7月には弁論が開かれた。最高裁は通常、二審の結論を変更する際に弁論を開くため、住民敗訴の二審判決を見直す可能性がある。改めて、訴訟のポイントを整理する。

 2006、07年度の採用試験で合格ラインに達していたのに、点数が改ざんされたあおりを受けて不合格となった53人に対し県から「和解金」として9045万円が支払われた。

 もともと、このお金の原資は公金。教員採用試験の不正は、元県教委幹部らの汚職事件に発展し、8人が有罪判決を受けた。「犯罪行為のせいで生じた賠償金を、県民から集めた税金で肩代わりするのはおかしい」-。NPO法人・おおいた市民オンブズマンら住民は、不正に関わった元県教委幹部らに賠償額を求める「求償権」の行使を怠っているとして県を訴えているのだ。

 県が53人に支払った9045万円は有罪判決を受けた元幹部らが自腹で447万円を弁済。教育関係者らからも5342万円の寄付金が集まった。これに、元教育審議監が県に返納した退職金3254万円も賠償金の穴埋めに使われ、9045万円は弁済された形になっている。

 しかし、こうした賠償金の弁済方法を巡り、司法判断が分かれている。ポイントは、収賄罪で有罪となった元教育審議監が賠償金の穴埋めとして返納した退職金への評価だ。

 15年3月の一審大分地裁判決は、「退職金は本来支払われるべきでないものが返納されたにすぎない」として求償権から差し引くことを認めなかった。この退職金は賠償金の穴埋めには使えないという判断で、元教育審議監ら4人に計2680万円の支払いを請求するよう県に命じた。

 これに対し、同年10月の二審福岡高裁判決では、「採用試験の不正の責任は県教委にもあり、退職金を考慮するのは、過失相殺や信義則上、合理性がある」と穴埋めすることを認めた。「退職金の返納を考慮することは合理性があり、請求すべき額は既に全額回収された」とし、住民側の逆転敗訴となったのだ。

 返納された退職金の評価が最大の争点となった「求償権訴訟」だが、県教委汚職事件発覚から9年が経過する中、「聖職」を選ぶ教員採用試験を「贈収賄事件」で汚された責任を、どこまで追及するのかという司法判断が注目される。

 【ワードBOX】県教委汚職事件

 2008年6月、当時の県教育委員会幹部や小学校長が県警に贈収賄容疑で逮捕されて発覚。教員採用や校長、教頭昇任の試験、県教委内部の人事異動に絡み商品券などの授受があったとして、計8人が起訴され、全員有罪となった。一連の公判で、採用や昇任を巡る口利きや組織的不正の常態化が指摘されたが、捜査が新たに進展することはなかった。一方、県教委は08年度の採用試験で合格した21人を不正合格者とし、自主退職しなかった6人の採用を取り消した。うち2人が処分取り消しを求め、提訴した。

=2017/09/09付 西日本新聞朝刊=

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