追い込まれた末の死防げ 県内深刻2日に1人超 県が対策計画 ネット空間対応は課題 [大分県]

写真を見る
写真を見る

 自殺者数が全国的に減少する中、県内は微増の状況となっている。ピーク時の2000年に比べると4割減っているが、いまだに2日に1人を超える人が自ら命を絶つ深刻な事態だ。そうした中、県は「いのち支える県自殺対策計画」をまとめた。多様な年代や悩みへの対策を網羅的に盛り込んでいるものの、問題化しているインターネット空間での具体的な対策は検討課題。自殺の多くが「追い込まれた末の死」であり、民間も含めて関係機関や団体が連携して総合的に取り組むことが欠かせない。

 国内の日本人のみを対象とし、自殺者の住所を基にした厚生労働省の人口動態統計によると、2016年の全国の年間自殺者数は2万1017人と7年連続で減少。一方、県内は194人で4年ぶりに増えた。2日に1人以上が命を絶っていることになる。

 17年は警察庁の統計(速報値)では212人。警察庁統計は発見された場所を基に外国人も含むため、県計画で用いる厚労省統計ではそれより少ない見込みだが、2年連続で増える可能性がある。

 自殺対策を巡っては16年、防止計画の策定を地方自治体に義務付けた改正自殺対策基本法が施行された。県が策定した計画は18~23年度を対象期間として(1)子ども・若者(2)労働者・経営者(3)生活困窮者(4)無職者・失業者(5)高齢者-について個別施策を列挙している。さらに自己肯定感や人間関係を「自殺に対する保護要因」と捉え、「生きることの包括的な支援」が重要と位置づけている。

 自殺対策では会員制交流サイト(SNS)などインターネット上の対策も喫緊の課題だ。神奈川県座間市で昨年10月に9人の遺体が見つかった事件では、ネット上に自殺願望を書き込んだ人が狙われたとされる。大手インターネット検索サイトでは、国内で月平均、約24万回も「死にたい」と検索されている。

 こうした実情を背景に、県計画はネット対策の強化をうたう。SNSを活用した相談支援の充実の他、ネット上の有害情報への対策や自殺をほのめかす人の安否確認を実施。さらに民間団体によるSNSの活用など先駆的・試行的な対策の後押ししたい考えだが、詳細はこれからだ。県障害福祉課は「今後の施策を検討、整理していく中で、具体的な対策を打ち出していきたい」としている。

 精神疾患、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめ、孤立…。自殺の背景にはさまざまな社会的要因があるとされる。同課は「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指したい」としている。

■育児、教育、犯罪被害… 相談窓口さまざま

 不安や悩みの相談先は県内にも多数ある。「大分いのちの電話」は24時間対応で相談に乗ってくれる。育児やしつけ、発達の遅れなど子育てに関する悩みは「いつでも子育てほっとライン」が24時間対応。県教育委員会は「24時間SOSダイヤル」で、子ども向けの幅広い悩みに応じている。

 犯罪関連は「大分被害者支援センター」が相談に乗るほか、性暴力被害では「おおいた性暴力救援センターすみれ」がある。家族を自殺で亡くした場合は「県こころとからだの相談支援センター」が支援する。

 悩みがあっても相談先が分からない10代向けのウェブサイトもある。東京のNPO法人が運営する「Mex(ミークス)」。スマートフォンに対応し、「家族・学校」「犯罪被害」「からだ・こころ」など六つの分野から選び、居住地や希望する相談方法などを入力すると、適切な支援情報が表示される仕組みだ。フリーワードの検索も可能。

 県弁護士会は昨年4月、過重労働や多重債務を苦にした自殺を防ぐための「自死関連事案当番弁護士制度」を開始。パワハラや借金など法的に解決できるケースを早期支援している。

=2018/02/28付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]