梅雨控え日田の被災地に不安 川に大量の巨石、土砂残る 避難呼び掛け判断に苦慮 [大分県]

巨石や土砂で埋まった谷川。下流の川沿いに民家がある
巨石や土砂で埋まった谷川。下流の川沿いに民家がある
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 昨年の九州豪雨で家屋の8割が被害を受けた日田市大鶴地区上宮町では、豪雨から10カ月たった今も、集落そばを流れる谷川に巨石や土砂が大量に残る。梅雨入りを前に、住民たちは災害の再発に不安を募らせる一方、夜間の避難態勢などに課題は残り、地元自治会は対応に苦慮している。

 土砂崩れの爪痕が残る上宮町。山あいの道を進むと民家5軒が密集する集落がある。民家の間を縫うように流れる幅約2メートルの川は、護岸が崩壊して原形が分からない場所もある。豪雨では川の氾濫で5軒のうち3軒が大規模半壊や床上浸水などの被害に遭った。

 川沿いの女性(64)の自宅は床上浸水し、川に接する敷地の一部がえぐられた。川の上流は、直径1メートルほどの巨石や土砂で埋まり川底が上がった。女性は「巨石が流されてまた被害が出るのではと思うと怖い。最近は雨も多い。不安が増した」とこぼす。そばの男性も「川底が上がったせいか、豪雨前より川の増水が早くなったように感じる」と声を震わせた。

 この川を管理する市は、梅雨入りまでに巨石や土砂の除去などの復旧工事を終えたい考えだったが「市全域で被災箇所が多く、業者の手も回らない状態」(市土木課)といい、本格的な工事には着手できていない。

 このような市管理河川の被災箇所は、国の補助事業の対象になるものだけでも市全体で118カ所に上る。女性も「各地で大きな被害があった災害だから無理は言えない。近所の人にも声を掛けて早めに避難するしかない」と話す。

 地元自治会はその避難の呼び掛けのタイミングに頭を悩ます。同市では6日から8日にかけて雨が降った。6日夜は雨脚が強く、自治会長の藤井隆幸さん(69)は夜間に自主避難を呼び掛けるかどうか迷った。

 自力で歩けない高齢者もいて、避難先の大鶴公民館までの道路は土砂崩れの危険性もある。暗い中でも、避難を呼び掛けるかどうか-。結局、消防や市に相談した上で翌朝まで待つことにした。藤井さんは「早めの避難といっても、どの時点で判断するかが難しい。今後も気象情報を集めて見極めるしかない」と話していた。

=2018/05/12付 西日本新聞朝刊=

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