史跡公園、トイレも駐車場もなし!? 中津市「長者屋敷官衙遺跡」 行財政改革で計画縮小 [大分県]

トイレや駐車場、多目的広場などが併設された長者屋敷官衙遺跡の当初の整備イメージ図
トイレや駐車場、多目的広場などが併設された長者屋敷官衙遺跡の当初の整備イメージ図
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 中津市教育委員会が史跡公園として整備を進めている国史跡「長者屋敷官衙(かんが)遺跡」(同市永添)が、2023年度に完了予定の現計画では、駐車場もトイレもない施設になることが分かった。数十キロに及ぶ大量の炭化米が出土するなど全国的にも珍しい遺跡だが、市の行財政改革により整備費は当初計画の約2割に削減され、これらの施設は着工延期となった。市教委は遺跡への理解が進めば、追加整備に弾みがつくとして、遺跡のパンフレット(A3判、5千部)を作製するなどPRに必死だ。

 市教委によると、同遺跡は8世紀から10世紀、下毛郡の郡役所にあった米倉跡。税金として納められた米を貯蔵する場所だったという。1995年、市営アパートの建設用地で発見。歴史書「続日本紀」の記述にある放火によるとみられる大量の炭化米が出土したほか、米倉や役所施設など16棟からなる官衙(役所)の全体像が把握できる珍しい遺跡として、2010年には国史跡に指定された。

 市は13年、駐車場(約30台)やトイレ、多目的広場などを併設した整備計画を策定。総面積2・1ヘクタール、総事業費は約7億6千万円で、周辺の古代遺跡を周遊する拠点施設としての役割も持たせる計画だった。ただその後の行財政改革の中で、計画は縮小を余儀なくされた。駐車場やトイレは着工延期となり、多目的広場整備は中止。面積は1・8ヘクタール、事業費は1億3千万円に圧縮されたという。

 市教委によると、24年度以降、2期工事に移るかどうかも未定という。ただ周辺には、古代の区画「条里」が見渡せる展望台や古代の国道「官道」跡があるほか、多数の県指定史跡が存在する。市教委は4月、今後の整備方針や活用策について市民から広く意見を募ることを決め、まずは遺跡を知ってもらう手がかりとしてパンフレットを作製したという。パンフレットはマンガやすごろくを通して歴史を学べ、市役所のほか公民館などで入手できる。

 市教委は「周辺は郷土の古代史を周遊しながら学習できる絶好のエリア。史跡公園にトイレや駐車場は必要ではないか、市民の意見をうかがいたい」と話す。

 意見は電話やメールなどで受け付ける。市教委文化財室=0979(22)1111、bunka@city.nakatsu.lg.jp

=2018/05/15付 西日本新聞朝刊=

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