日本初、医大生がムエタイ王者に 亡き父の仏壇にベルト「喜んでくれているかな」 [大分県]

日本王者のベルトを肩にかけ喜ぶ岡田さん
日本王者のベルトを肩にかけ喜ぶ岡田さん
写真を見る
日本ウエルター級王座決定戦の1ラウンドで、ハイキックする岡田さん(左)=ウィラサクレックフェアテックス提供
日本ウエルター級王座決定戦の1ラウンドで、ハイキックする岡田さん(左)=ウィラサクレックフェアテックス提供
写真を見る

 大分大医学部で学びながら、プロのムエタイとの“二刀流”に挑む岡田将人さん(25)=大分市=が、WPMF(世界プロムエタイ連盟)日本ウエルター級王者に就いた。3日に東京で初のタイトル戦に臨み、3ラウンドTKO勝ちを収めた。日本初の現役医大生チャンピオンとなった岡田さんは、感慨に浸りながらも「次は世界」と前を見据える。

 タイトル戦の相手は60戦以上の戦歴を誇るベテラン。試合前、岡田さんは「恐怖感と緊張で周りが見えなかった」。1ラウンドは相手のローキックに苦しんだが、2ラウンド途中に膝蹴りが相手の腹に決まると「格上にも技が通用する」と自信を得た。その後は岡田さんのペース。3ラウンドには肘打ちで相手の額を切り、流血によるドクターストップでベルトを勝ち取った。

 審判がTKOを伝えても、岡田さんは「興奮しすぎてよく分からなかった」。所属するBRAVELY GYM(別府市)の伴政和代表(35)に「勝ったぞ」と肩を抱かれると、涙がこぼれたという。「この瞬間なんです。ムエタイがやめられないのは」

 試合後、岡田さんのスマートフォンには祝福のメールなど200通以上が届いたという。試合会場には同級生らも応援に駆けつけ、その一人の同学部3年の秋吉祐希さん(22)=大分市=は「タイトル奪取は偉業。勉強もムエタイも本当に努力していて、とにかく素晴らしい」とたたえた。

 岡田さんは、医師で2005年12月に病死した父秀司さん=当時(48)=の背中を追い、医学部に入学。格闘技に興味を持ったのも、格闘技が好きだった父の影響だった。「父も喜んでくれているかな」。ベルトは、自宅の仏壇の前に飾っているという。

 激闘を終えた岡田さんは試合翌日の4日、早朝の飛行機で大分に戻り、そのまま大学に直行して授業を受けたという。本人は今、体を休めているが、世界戦の準備は進み始めている。伴代表は、来年2月に別府市内での開催を計画。既にタイ人の世界チャンピオンとの交渉に入っているという。

 「挑戦権を取って、これからが世界戦へのスタート」。岡田さんは走り始めている。

=2018/06/07付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]