九州豪雨1年、原田日田市長に聞く 「日田彦山線維持はJRで」 [大分県]

「創造的復興を目指す」と語る日田市の原田啓介市長
「創造的復興を目指す」と語る日田市の原田啓介市長
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 昨年7月5日に発生した九州豪雨から1年。2012年に続き、再び豪雨に襲われた日田市では3人が犠牲となった。この教訓をどのように生かしていくのか。原田啓介市長に復旧や今後のまちづくりについて聞いた。

 -豪雨から1年。今の思いを聞かせてほしい。

 「小野の土砂崩れ、JRの鉄橋流失…。一つ一つの災害の規模も範囲も被害額も、6年前とは比べものにならないほど大きかった。3人の方が亡くなったのも残念でならない」

 「6年前の経験から避難情報も早めに出し、市民の協力もあって、避難はほぼうまくいったと思う。ただそれでも対応が追いつかなかった。雨の降り方が急激だった」

 -電話の不通などによる情報の寸断、土砂崩れによる孤立集落の発生など課題も浮き彫りとなった。

 「防災行政無線は普段の連絡にはいいが、今回のような災害では役に立たないとはっきりした。屋内や地下でもつながりやすいポケットベル電波を使ったツールの実証試験も予定している。孤立集落の対策としてヘリポートに使える用地の確保も進めている」

 -市の復旧工事に応札がなく、影響が懸念される。

 「6年前はここまでの状況はなかった。応札しやすいように工夫もしたが、それでも業者の手が足りない。2年前の熊本地震の影響もあるようだ」

 -小野、大鶴・夜明地区の被災者用の市営住宅建設について。

 「大鶴・夜明は、少なくとも3世帯の入居が確定した。来年7月までには完成させたい。場所は夜明交流センターそばの市有地で、希望者が増えても建て増しできる構造にする。小野はもう少し意向調査が必要だ」

 -被災した小野小は、戸山中での間借りが続く。今後の見通しは。

 「豪雨による大規模土砂崩れで道路が寸断され、小学校に通う子どもと1日半会えなかった保護者は、小野小に戻るのは怖いという。地区外に働きに出る保護者にとって、小野小より市中心部に近い今の戸山中の方が安心できるようだ」

 「今年いっぱいは戸山中で授業すると決めている。保護者の方々が話し合い、方向性が決まればその考えを聞いてみたい。来年4月までに方向性が決まればいいと思う」

 -JR久大線は14日、全線復旧するが日田彦山線は協議が始まったばかりだ。

 「久大線は当初、復旧に3年かかるといわれていたからよく1年でできた。素直に喜んでいる。観光業が大きな影響を受けた。今後この復旧をどう生かしていくかが大切だ」

 「日田彦山線についてJR九州は(自治体が線路などを保有しJRが運行する)上下分離も一つの方法、と話しているようだが、あり得ない。(経営安定化基金など)これまでJRにどれだけ税金が充てられたと思っているのか。沿線自治体も利用者増に協力するが、維持・運営はJRの義務だと、今後もしっかり主張していく」

 -小野、大鶴地区では一層の過疎化の進展も懸念される。日田のまちづくりの将来像をどう描く。

 「『危ないから移住して』『過疎化するから戻って』などと役所の都合を押しつけられない。安全とそこに暮らす人の幸せを考えながら進めるのが行政だ。住民と話し続けるしかない」

 「日田は8割が山で、その8割が杉林。この多様性のなさが災害に直結していると考える。過疎化が進んでいるが、山は日田の基幹産業(の林業)を生む場所。若い人が働ける場所として残さなければいけない。そのために必要なのは、杉林一辺倒から、例えばシイタケや林間ワサビの栽培、養蜂業、バイオマスの拠点などへの転換。『山業』とも言うべきか」

 「被災地を元に戻すだけの復旧はしない。元よりいい環境、日田はこれだけ成長しました、という姿を見せる、そんな創造的復興を目指していく」

=2018/07/05付 西日本新聞朝刊=

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