障害者が輝く舞台を 日田市で17日、演劇「島ひきおに」 [大分県]

演出の樋口友治さん(手前、後ろ姿)が見守る中、稽古をする出演者たち
演出の樋口友治さん(手前、後ろ姿)が見守る中、稽古をする出演者たち
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 障害のある人もない人も、一緒になってつくり上げた舞台演劇「島ひきおに」が17日午後7時から、日田市のパトリア日田で公演される。総合プロデューサー橋本真市さん(64)は知的障害のある娘がおり、2016年に相模原市の障害者福祉施設で入所者19人が殺害された事件に衝撃を受けた。障害があるこの子らがスポットライトを浴び、輝く舞台に-。作品にそんな思いを込めた。

 劇は絵本「島ひきおに」を題材に制作した。小さな島で独りぼっちで寂しく暮らしていた鬼が、人間と暮らしたい、一緒に遊びたいと願い、島を引きずりながら人間の住む島を目指して海を歩き始める-という物語だ。学生の頃からこの絵本に魅力を感じていたという橋本さん。絵本では、怖がる人間に対して鬼が「こっちゃきてあそんでいけ」「いっしょにあそびたいだけじゃ」と何度も言う。橋本さんはこの言葉が「娘や娘と同じようなハンディがある人たちの思いに重なる」と感じ、県内で全国障害者芸術・文化祭の開催が決まった頃から演劇にして伝えたいと、構想を練った。

 キャストは障害者15人と、その保護者や市民など。主要キャストは障害者が務める。夏から始めた稽古では大詰めを迎えても台詞(せりふ)を間違えたり、注意されたばかりの動きができなかったりで、同じシーンの稽古を繰り返す。「せりふが遅い」「もっとおびえているような演技にして」。演出の樋口友治さん(55)の容赦ない指導の声が飛ぶ。樋口さんは「障害の有無は関係ない。皆、個性があって面白いですよ。手がかかったけれど形になってきた」と手応えを感じている。

 公演は7日の予定だったが、台風接近の影響で延期された。物語の終盤の重要な場面で登場する橋本さんの長女磨依さん(32)は、仕事の後に稽古に参加し、自宅でも台詞を覚えた。「鬼は怖くないよって伝えたい。ビシッと決めたい」と本番を心待ちにする。

 相模原市の事件では、凶行に対しインターネット上で「否定はしない」と賛同する書き込みもあった。橋本さんは「演劇を通して、この子たちが何を考えているのか。その声や存在を伝えたい」と話す。

 入場無料。市社会福祉課=0973(22)8290。

=2018/10/11付 西日本新聞朝刊=

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