車いすで久住山登頂 別府市・橋本さん 11キロ、20人が支援 [大分県]

久住山頂に到着し喜ぶ橋本剛さん(前列左から3人目)と支援者
久住山頂に到着し喜ぶ橋本剛さん(前列左から3人目)と支援者
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足場の悪い急坂で、車いすを懸命に引き上げる女性支援者ら
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険しい岩場では屈強な男性が橋本さんを背負い、ロープを伝って降りた
険しい岩場では屈強な男性が橋本さんを背負い、ロープを伝って降りた
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 転落事故でまひが残り、6年前から車いすを利用するNPO法人職員の橋本剛さん(31)=別府市千代町=が、支援者二十数人とくじゅう連山の久住山(1787メートル)に登頂した。支援者は橋本さんを背負い、急坂では全力で車いすを引っ張った。途中家族連れらが声援を送り、「障害があっても夢を諦めないで」と願う橋本さんの思いを多くの登山者が共有した。

 元々登山好きだった橋本さんは5月、「チャレンジする姿を見てもらいたい」とくじゅう連山にある法華院温泉に支援者約40人と登った。その延長戦として久住山登山を計画。5月以降仲間集めや予定ルートの下見など準備を進めてきた。

 決行日は8日。九重町の牧ノ戸登山口から久住山までの往復約11キロを10時間かけて歩く計画で、中学生から69歳までの支援者が2班に分かれ、交代で手助けした。一行はまだ暗い午前5時半前にスタート。険しい岩場では、体力自慢の消防署員らが交代で橋本さんをベルトで縛り付けて背負い、がれきが広がって足場の悪い急斜面では、地面に顔がつくほど前傾姿勢になり登山用車いすを引っ張った。

 絶景が広がる山々や紅葉、雲海に感激し、冗談も言い合いながら、午前9時半に山頂に到着。支援者からは「おめでとう」「やったな」と拍手。橋本さんは「くじゅうや阿蘇に広がる眼下の雲を一緒に見ている。最高です」と感謝した。30分ほど休憩し、下山。途中ですれ違った家族連れや高齢者グループは立ち止まって支援の様子を見守り、「頑張って」とエールを送った。中には「こんなグループに出会えてうれしい」と感激する女性も。登り始めて約9時間半後の午後3時前、ほぼ予定通りに牧ノ戸登山口に帰り着いた。

 橋本さんは「計画にかかわった人たちは全員僕の宝。今後も障害のある子どもたちや家族らが楽しめるイベントを計画し、障害者が普通に暮らしたり遊べたりする社会にしたい」と語った。支援者も多いに刺激を受け「アドレナリンが出てきて、元気をもらった」「挑戦はすてきなこと」「最初は『登らせてあげる』という気持ちがどこかにあった。しかし、計画を通してその気持ちが消え、相手が誰でも同じ山を楽しむ仲間という意識に変わった」などの感想を寄せた。山岳ガイドの増田啓次さん(59)=九重町=は「車いすで山に登らなくてもいいじゃないかと思う人がいるかもしれない。でも橋本さんが楽しんで、私も楽しんだ。これが成功ということだろう」と話した。

=2018/10/12付 西日本新聞朝刊=

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