野ざらしの仏像救え 中津・岩屋洞 住民が安置所建設へ募金 [大分県]

くぼんだ岩肌に置かれた木製仏像(中央)と2体の石仏(左)と秦忠広さん
くぼんだ岩肌に置かれた木製仏像(中央)と2体の石仏(左)と秦忠広さん
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千年以上前の平安前期の様式を残すとされる木造菩薩立像。野ざらし状態が続いて激しく損傷している
千年以上前の平安前期の様式を残すとされる木造菩薩立像。野ざらし状態が続いて激しく損傷している
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 中津市三光田口の岩屋洞で野ざらしになっている貴重な木造菩薩(ぼさつ)立像など仏像3体を救おうと、地元の住民団体が立ち上がった。インターネットを通じ資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用し、九州大研究室の支援も受け、仏像を安置するお堂の建設を計画。集まった資金は目標70万円の9割(11日現在)で、団体は「なんとか仏像を助けたい」と賛同を呼び掛けている。

 県教育委員会文化課が編集した報告書「八面山の文化財」(旧三光村発行)によると、木造菩薩立像はカヤ材の一木造りで、大きさは98・4センチ。製作は平安前期の11世紀ごろと推定される。他に石仏2体もあり、菩薩立像が本尊とみられるという。

 関係者によると、半世紀ほど前までは岩屋洞にはお堂があり、住民が毎年4月に集まって飲食する習わしもあった。だが、過疎化で集落がほぼ消滅。お堂もなくなった。報告書が出た1985年当時も仏像の損傷は激しかったが、厨子(ずし)と呼ばれる木製容器に納められており、原形はとどめていた。現在では厨子もなくなり、風雨にさらされた状態となっている。

 この状況を知って動きだしたのが、2016年から地域おこし協力隊員として三光地区で活動する地元出身の秦忠広さん(45)。「古里の貴重な文化遺産を守りたい」と仏像を安置できる建物の建設を決意し、市側に相談したところ「宗教施設と見られるため補助は難しい」との回答だった。このため、約20人で住民団体「母なる山 八面山のお堂修復プロジェクト」を立ち上げ、CFで資金を募ることにした。

 景観や歴史などの地域資源を生かした活性化策を研究する九大の朝広和夫准教授も支援。かつて修験道場で市の象徴でもある八面山(659メートル)の遥拝場でもあった岩屋洞の歴史的経緯も考慮し、仏像の安置場所だけでなく、展望所の役割も持たせることにした。設計は、朝広准教授の研究室の4年生が卒業論文として無償で担当。庭師でもある秦さんらメンバーが建設することで必要な費用を抑える計画だ。

 CFでは、支援額に応じて、復元した江戸時代の護符の送付や八面山神護寺で護摩焚(だ)きや写経体験ができるサービスを設けているが、目標額には届いていない。

 締め切りの今月15日までに集まらなかった場合は不成立。秦さんは「仏像を保存しながら、雄大な八面山を間近で見渡せる景観を多くの人に見てもらうための施設。支援してほしい」と訴えている。

=2019/01/12付 西日本新聞朝刊=

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